中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

イスコチン®錠

【概要】抗結核薬。『イソニアジド』の商品名。詳細は、『イソニアジド』を参照。

イスラトラビル

【略号】ISL

【概要】抗HIV薬逆転写酵素トランスロケーション阻害剤。2022年1月現在発売されていない。

育成医療 Medical care for disabled children ; “IKUSEI IRYO”

児童福祉法第4条第2項に規定する障害児(障害に係る医療を行わないときは将来障害を残すと認められる疾患がある児童を含む。)で、その身体障害を除去、軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる者に対して提供される、生活の能力を得るために必要な自立支援医療費の支給を行うもの。更生医療と異なり、身体障害者手帳の交付要件は必要ない。

異形成 Dysplasia

【概念】病理学的な用語。顕微鏡で見た細胞の異常な変化。細胞レベルでは癌細胞に変化しているが、明らかなとは言えず、境界の状態。HIV感染の女性では子宮頸部の粘膜上皮に異形成が高頻度にみられる。本来若い女性に多いもので普通は粘膜から剥がれ落ち自然に消えていく。細胞診で経過を追跡すればよい。中に進行するものがあり粘膜内癌という早期癌になることがある。

イソスポラ症 Isosporiasis

【概要】イソスポラ(Isospora belli)は原虫の一種で、小腸粘膜上皮細胞内に侵入発育し、頑固な下痢、嘔吐、発熱、体重減少などの症状を起こしたもの。1ヶ月以上の下痢を伴う者は、エイズ発病とされるが、日本ではこれまで数例のみ。診断は糞便からオーシストを検出。治療はST合剤:2錠を1日2回、6〜8週間継続。有効率は80〜90%。再発率は30%。

イソニアジド Isoniazid

【商品名及び略号】イスコチン®錠 INH

【用法・用量】成人には、1日200〜500mgを1〜3回に分けて、毎日または週2回。

【概要】抗結核薬。治療には他の抗結核薬と併用することが望ましい。

【副作用】最も重大な副作用は肝障害。他にかかとの焼けるような痛み、関節炎、貧血、めまい、混迷、協調障害、視神経炎など。視神経炎、末梢神経炎の処置としてビタミンB6の投与が行われる。

【その他】相互作用が多いため、飲み合わせに注意が必要。

一次変異 Primary mutation

『メジャー変異』と同義。『メジャー変異』を参照。

一次予防 Primary prophylaxis

【概要】まだかかっていない病気に将来かからないように予防すること。HIV感染症では、免疫能の低下によって高頻度に発生する疾病の予防治療は費用対効果が良いことがわかっている。日本では日和見感染症の一次予防はニューモシスチス肺炎とマイコバクテリウム・アビウム症に対して保険適用が認めら れている。具体的な方法は次のとおり。(1) CD4細胞数が200/μL以下に低下した患者:ST合剤:ニューモシスチス肺炎とトキソプラズマ脳症、(2)CD4細胞数が100/μL以下: アジスロマイシンリファブチン: MAC症、(3)結核患者に接触した場合:ヒドラジド。また一次予防中止基準は次の通り。(1)ニューモシスチス肺炎予防の中止:CD4細胞数が200を越え3-6ヶ月以上を経過、(2)MAC症予防の中止:CD4細胞数が100以上を3-6ヶ月以上維持し、HIV RNAを十分抑制できている場合。他に肺炎球菌肺炎、B型肝炎、インフルエンザ、A型肝炎、COVID-19をワクチンにて予防することもHIV感染者には勧められている。

遺伝子型 Genotype

【概要】生物を遺伝子配列の違いで分類したもの。生物の構造 や働きを決めるタンパク質は、設計図である遺伝子に情報がある。従って遺伝子の情報を判読することによって、生物を分類すること、あるいは進化の系統樹の解析に利用できる。HIVHCVHBVすべて遺伝子型がある。対比する用語は「表現型」。HIVの場合、表面蛋白の遺伝子配列でHIV-1HIV-2、さらにサブタイプや指向性などの区別が可能。酵素の構造を決めている遺伝子配列を調べれば、ある阻害薬に対して耐性であるかの判定に利用できる。耐性の程度を推定するには表現型の結果とつきあわせる必要がある。

遺伝子型耐性検査 Genotypic resistance assay

【概要】HIV遺伝子の配列を読み取り、抗HIV薬が有効なHIV遺伝子との違いを比較することにより薬剤耐性を予測する方法。検査のためには1000コピー以上のウイルス量が必要。保険収載されている。遺伝子型検査の利点は、(1)自動的な解析装置が使える、(2)人や時が変わっても同じ結果が得ら れやすい、(3)結果が比較的早く分かる、(4)検体量が少ない、(5)検体の運搬や保存が容易で普及しやすいなど、大手の検査会社で受注に適した性質がある。一方、欠点としては、(1)操作に慣れた技術者が必要、(2)耐性の程度はわからない、(3)マイナーな変異はわからない、(4)解釈は表現型耐性検査とのリンクが必要、(5)変異が重なると結果の解釈が難しい。解釈についてはスタンフォード大学の「HIV Drug Resistance Database」が推奨される。

イトラコナゾール Itraconazole

【商品名及び略号】イトリゾール® ITCZ

【用法・用量】錠剤:深在性真菌症・深在性皮膚真菌症は、1回100〜200mgを1日1回食直後。表在性皮膚真菌症(爪白癬以外)は、1回50〜100mgを1日1回食直後。爪白癬(パルス療法)は、1回200mgを1日2回食直後、1週間服用し3週間休薬、3サイクル繰り返す。内用液:真菌感染症・口腔咽頭カンジダ症、食道カンジダ症は、1回200mgを1日1回空腹時。

【概要】抗真菌薬。トリアゾール系。真菌の細胞膜の主要構成脂質であるエルゴステロールの生合成を阻害する。有効菌種は皮膚糸状菌、カンジダ属、アスペルギルス属、クリプトコッカス属、スポロトリックス属などで、深在性の感染症。アムホテリシンB寛解導入後の維持に使いやすい。水虫にも良く効く。

【副作用】頻度は低いが、急性心不全、肝障害、皮膚粘膜眼症候群など。

【その他】相互作用が多いため、飲み合わせに注意が必要。

違法薬物 Illegal drug

【概要】法律で禁止されている薬物のこと。覚せい剤や大麻などが該当する。使用だけでなく、所持も刑罰の対象である。患者の違法薬物使用を医療従事者が把握した場合の通報義務と守秘義務の考え方は以下の通りである。麻薬中毒を診断した場合には知事に届出の義務があるが、警察への通報義務ではない。また、それ以外の薬物使用については、患者の薬物依存症からの回復のため、通報義務よりも守秘義務を優先できる。なお刑事訴訟法に基づく照会があった場合に答えることは、医師法の守秘義務違反ではないとされている。

医薬品医療機器総合機構 PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency

【概要】「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構」が改変されH16年から独立行政法人となった。医薬品について審査業務、安全対策業務、健康被害救済業務などを行っている。誰でも医療用医薬品・一般医薬品の添付説明書の情報を検索できる。

医療ソーシャルワーカー MSW: Medical Social Worker

【概要】医療分野で社会福祉の観点から支援を行う職種。病気になることで生じる生活上の様々な困難を、患者自身が解決または改善していけるように、社会福祉的な知識と技術を使いながら、患者の生活全体を支援する。医療ソーシャルワーカーの業務は必ずしも国家資格を必要としないが、多くの場合、国家資格である「社会福祉士」あるいは「精神保健福祉士」の有資格者がその任に当たっている。

インジナビル Indinavir

【略号】IDV

【概要】抗HIV薬プロテアーゼ阻害薬。現在販売終了している。

【その他】1997年3月承認され当時としては有効性が高かった。しかし、服用錠数が多く、食間服用、大量の飲水励行など安全性と利便性に欠け、脱落者も多かった。副作用は腎障害(腎臓萎縮)、血友病患者で出血回数の増加、肝機能障害、耐糖能異常、リポジストロフィー、溶血性貧血など。

インターロイキン Interleukins

【概要】免疫反応を調節する蛋白物質、サイトカインの一群を言う。インターロイキン1からインターロイキン27まで命名されている。キラーT細胞やNK細胞など免疫細胞同士を増やしたり、活性化させたりして、色々な効果を発揮すると考えられている。医薬品として遺伝子組み換え技術によるインターロイキンの製剤が市販されている。

インターロイキン2 IL-2: Interleukin-2

【概要】免疫反応をプラス側に調節するサイトカインの一つ。抗原刺激を受けたT細胞(Th1 CD4)が作り、仲間のCD4細胞やCD8細胞を増やす。IL-2受容体は休んだ状態のT細胞の表面には出ておらず、抗原刺激で出てくる。IL-2によってNK細胞の活性化やB細胞抗体産生にも働く。遺伝子組み換え製剤としてはイムネース(塩野義)が血管肉腫と腎癌に、セロイク(武田)は血管肉腫のみが保険適応となっている。HIV感染者に遺伝子組み換え型IL-2を注射するとCD4細胞数が増加するが、同時にHIVも増える。抗HIV薬を併用すると有効性は高まるが、中止すると元に戻る。HIV感染症での臨床試験が実施されたが市販に至らなかった。

インテグラーゼ Integrase

【概要】HIVのコピーであるDNA(プロウイルスDNA)が人間の遺伝子のDNAの中に、潜り込むとき、DNAに切れ込みを入れて組み込む酵素。分子量は32kDaと小さい。ウイルス特有の酵素で阻害薬はヒトの細胞には害がない。ウイルスのDNAを組み込むために、3段階の働きを持っている。(1)まず逆転写酵素によってDNAに変わったHIVの両端にLTRという構造をくっつけて、組み込みに便利な複合体を作る。(2)つぎに端を切って、核のDNAにつなぎやすい形にする。(3)インテグラーゼは核膜の穴をPICと一緒に通り抜けて運び、宿主細胞のDNAにつなぐ。最後に切れ目がDNAにできるが、細胞側のDNA修復酵素によって元の2本鎖にもどる。

インテグラーゼ阻害薬 Integrase inhibitor

【概要】抗HIV薬のグループ名。HIVインテグラーゼの活性中心に結合することにより、インテグラーゼとプロウイルスDNAの複合体ができなくして、HIVの増殖サイクルが止める。副作用が少なく薬剤相互作用が少ないことも利点で、近年のガイドラインで初回治療に推奨されている。ミネラル(マグネシウム、アルミニウム、鉄、カルシウム、亜鉛)を含むサプリメントは本剤の効果が減弱する可能性があるので同時摂取を避ける。ラルテグラビルカリウム(RAL)が最初のインテグラーゼ阻害薬としてメルク社がアイセントレス®錠を発売した。その後ヴィーブ社のドルテグラビルナトリウム(DTG)、合剤としてギリアド社スタリビルド®配合錠ゲンボイヤ®配合錠、ヴィーブ社のトリーメク®配合錠という1日1回療法に道を開いた。

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