中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

適応 Adaptation

【概要】反対語は「不適応」。人と、その人を取り巻く人や物、社会などの環境とが、その人にとって有用なものとして機能している状態を示す。障害の有無や、問題の有無ではなく、障害や問題がある状態でも、その人が、周囲の人や物、環境などと有機的な関わりを持っていることを示す言葉。環境の変化や心理社会的ストレスによって社会の中での目的にかなった行動ができなくなり、自らの心理的満足が得られなくなることを適応障害という。

適応障害 Adjustment Disorders

【概要】特定のストレス因によって情緒面や行動面に症状が出現する。災害などの大きな出来事だけでなく、転勤や人間関係のトラブル、病気の判明などもストレス因となりうる。適応障害の主な症状として、1情緒面の症状(抑うつ、不安、過度の緊張、めまい、動悸など)と2行動面の症状(大量飲酒、暴食、攻撃的な行動など)が見られる。特定のストレス因が消失すると症状は徐々に軽快するが、そのストレス因を取り除くことが困難な場合は症状が慢性化することもある。また、趣味や興味・関心の減少や睡眠や食欲も支障が出る場合などはうつ病の可能性にも留意が必要。(「抑うつ状態」の項を参照)

デキサ法 DEXA: Dual Energy X-ray Absorptiometry

【概要】二重X線吸収測定法(DEXA:Dual Energy X-ray Absorptiometry)の略称。二種類の透過度をもったX線を対象に照射し、透過前後のエネルギーの減衰率からコンピュータで計算して面積当たりの骨密度を定量する。特に腰椎が骨粗鬆症の評価や予後を示す良い指標になる。機種や測定部位によって基準値が異なるため、若年成人群(YAM:20-40才の平均値)や同年齢の正常群との比較(偏差)で示すこともある。体脂肪量も測定できる。

【判定】骨粗鬆症:YAM:70%未満、骨量減少:70〜80%。

テノホビル Tenofovir

【略号】TFV

【概要】核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)のうちヌクレオチド系と呼ばれる。テノホビル(TFV)は消化管から吸収されにくいため、フマル酸ジソプリキシル(TDF: テノホビルジソプロキシルフマル酸塩)か、フマル酸アラフェナミド(TAF:テノホビルアラフェナミドフマル酸塩)を結合させてある。細胞内のTFVはリン酸化されてテノホビル二リン酸さらに三リン酸となり、抗ウイルス作用としてNRTIの働きをする。HIVHBVの両方に対して効果がある。治療薬剤としてはTDFかTAFで使用されており、TDFは腎障害や骨代謝への障害があるため、用量が少なく副作用が少なくなったTAFが主流となっている。

テノホビルアラフェナミドフマル酸塩 Tenofovir alafenamide fumarate

【商品名及び略号】ベムリディ®錠 TAF

【用法・用量】1回300mgを1日1回経口投与。

【概要】単剤ではB型慢性肝炎治療薬。

【副作用】吐き気、腹痛、肝機能障害など。

【概要】抗HIV薬としては単剤はなく、エムトリシダビンとの配合剤でデシコビ®配合錠などがある。

テノホビルアラフェナミドフマル酸塩/エムトリシタビン

【商品名及び略号】デシコビ®配合錠 TAF/FTC

【用法・用量】1回1錠を1日1回。食事の影響なし。

【概要】抗HIV薬核酸系逆転写酵素阻害薬テノホビルアラフェナミドフマル酸塩』、『エムトリシタビン』の配合剤。

【副作用】腹部膨満感など。

【その他】B型慢性肝炎の治療としても使用している際は、中止によるB型慢性肝炎の悪化に注意。

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩/エムトリシタビン

【商品名及び略号】ツルバダ®配合錠 TDF/FTC

【用法・用量】1回1錠を1日1回。食事の影響なし。

【概要】抗HIV薬核酸系逆転写酵素阻害薬テノホビルジソプロキシルフマル酸塩』、『エムトリシタビン』の配合剤。

【副作用】腹部膨満感、腎機能障害、骨密度低下など。

【その他】B型慢性肝炎の治療としても使用している際は、中止によるB型慢性肝炎の悪化に注意。

伝染性単核球症 Infectious mononucleosis

【概要】EBウイルスの急性感染症。他にサイトメガロウイルストキソプラズマ、腺熱リケッチャ、HIVの初感染の時には、同じような症状が起こる。すなわち急性の高熱、のどの痛み、リンパ節の腫れ、発疹、肝障害など。しかし通常は2〜4週間で自然治癒する。免疫不全症患者の初感染以外では致死的になることは、ほとんどない。

【診断】血液標本で異型リンパ球が増加。確定診断にはEBウイルスに対する抗体価の推移を見る。初期にはVCA-IgMとEA抗体が上昇する。なおHIVの急性感染症との鑑別では、HIV抗体が陰性のことがあるのでHIV RNA検査を行う。

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