中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

ヴァイデックスECカプセル

【略号】ddI

【概要】抗HIV薬。『ジダノシン』の商品名。詳細は、『ジダノシン』を参照。

ウイルス Virus

【概要】およそ30〜150nm(=ナノメーター、1mmの百万分の1)の大きさの生物。ウイルス自身は細菌などのように分裂できないので、特有の動物、植物、細菌の細胞に感染して、自分を複製する。基本構造は核酸と少数の酵素とそれを包む膜でできている。ウイルスの遺伝子はDNAの場合とRNAの場合があるが、HIVの遺伝子はRNAである。HIVの外側の膜は人の 細胞の膜(脂質の2重膜)をかぶっている。いっぽうパルボウイルスやノロウイルスなどはいきなりウイルス蛋白の殻になっている。

ウイルス学的失敗 Virological failure

【概要】抗HIV療法の効果が十分かどうかを判断する際に血中HIV RNA量を指標にする。「ウイルス学的失敗」は、血漿中HIV RNA量が200コピー/mL未満を維持できない状態のこと。原因は、薬剤耐性、服薬アドヒアランス不良、薬物の腸管からの吸収不良などが考えられる。

ウイルス学的抑制 Virological suppression

【概要】抗HIV療法の効果が十分かどうかを判断する際に血中HIV RNA量を指標にする。「ウイルス学的抑制」は、血漿中HIV RNA量が検査の検出限界(50コピー/mL)を持続的に下回ること。ウイルス学的寛解と同義。

ウイルス関連血球貪食症候群 VAHS: Virus-associated hemophagocytic syndrome

【概要】色々な疾患で発生する共通の病態。原因不明の高熱に引き続き、赤血球、白血球、血小板の減少と骨髄での血球貪食をしたマクロファージの増加が特徴的。ほとんどの場合は急性のウイルス感染症が原因である。ウイルス感染に対して、生体側の免疫反応が過剰となり、一気に嵐のように高濃度のサイトカイン血症が発生し、生体側の多臓器不全が発生する病態。EBウイルスが最も多いが、サイトメガロウイルス水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、HHV-6、HHV-8、アデノウイルス、デングウイルス、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルスなど。そしてHIVも原因となる。

ウイルス抑制指数 IQ: Inhibitory quatient

【概要】ある薬物のトラフ濃度とウイルス抑制有効濃度EC50値(またはIC90値)との比率。つまり薬の濃度がウイルスを抑える濃度よりも遙かに高ければ、それだけウイルス増殖をしっかり抑えると考える。ただしその薬物濃度では人間に副作用を及ぼさないことが必要。

ウイルス量 VL: Viral load

【概要】感染者が持っているウイルスの量。以下の複数の意味 がある。(1)体全体にある様々な形のHIVの総量。細胞の遺伝子の中にプロウイルスDNAの形で潜んでいるもの、細胞の中で増殖過程にあるもの、遺伝子の欠陥で増殖能力のないもの、血漿やその他の体液など細胞の外に流れているHIV粒子の総量。これらは動的な平衡関係がある。(2)プロウイルスDNA量:血液や組織からDNAを取りだし、その中のHIV DNAを計ることになる。増殖しているHIVとは限らないし、増殖できない欠陥HIVを増幅定量する可能性がある。(3)血漿中のHIV RNAの濃度。普通はこれを示す。一般にウイルス量が多い患者ほど、HIV感染症の進行が早いか進行期に近づいている。抗HIV薬の効果は感染者が持っている“ウイルス量”を減らし、ついにはゼロにすることが目標であるが、実用的には定量のしやすさから血漿HIV RNA量を測定することになる。

ウインドウ期 Window period

【概要】感染してから、ある検査で陽性と判定できるまでの期間。HIV初感染後の経過時間で、最初にみつかるのは血漿中のHIV RNA、次に単核球中のHIV DNA(PCR法)、次にHIV(p24) 抗原、次にIgM型のHIV抗体、最後がIgG型のHIV抗体である。 通抗体ができるまでの平均は22日であり、4日から41日の間に陽性化するものが95%である。抗体陽性化するおよそ7日前にHIV RNAが陽性になる。最近のスクリーニング検査ではウインドウ期を短くするため、HIV抗原抗体検査が採用されている。

ウエスタンブロット法 Western blot method

【概要】世界で広く採用されている抗体の確認検査法でHIV-1HIV-2は別々に検査する。特異度は高いが感度は低いので、確認検査法として用いられる。ウイルスの部品、個別に対する結合抗体を判別することができる。各バンドが出そろうには数週間以上がかかり、非特異的に薄い反応がでることもある。HIV-1陽性の判定のためにはenvバンドが2本以上検出されること、あるいはp24 coreバンドが必要である。非特異バンドが出現することがあり、その場合の判定は難しい。「診療におけるHIV-1/2感染症の診断ガイドライン2020版」では、確認検査として、ウエスタンブロット法に替わりHIV-1/2抗体確認検査法(商品名Geenius HIV1/2キット)を推奨している。

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