中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

ミオパチー Myopathy

【概要】筋肉障害。HIV感染症ではAZTなど核酸系逆転写酵素阻害薬の副作用として出ることがある。ミトコンドリア障害と考えられている。症状としては脱力感、筋肉痛、筋反射や筋力低下など。血清のCPK(CK:クレアチンフォスフォキナーゼ)という酵素が上昇することがある。もし短時間に大量の横紋筋の壊死が起こると筋肉細胞中のミオグロビンが血中に流れ出し、腎臓から尿中に排出されるとミオグロビン尿という真っ赤 な尿になる。横紋筋壊死という病態で腎不全や呼吸不全など全身障害を起こして死に至ることもある。

ミコナゾール

【商品名及び略号】フロリード MCZ

【概要】アゾール系抗真菌薬。薬物相互多い。クリプトコッカス、カンジダ、アスペルギルス、コクシジオイデスによる感染症に使用。

【副作用】肝障害、腎障害、不整脈、血球減少など。

【その他】ゲル経口用、注射、膣坐薬、クリームなどの剤形あり。

ミコブティン®カプセル

【略号】RBT

【概要】リファマイシン系抗結核薬『リファブチン』の商品名。詳細は、『リファブチン』を参照。

ミトコンドリア Mitochondria

【概要】糸状体。体中の全ての細胞の細胞質に数百個ずつある顆粒状の構造体。ブドウ糖から細胞のエネルギーであるATP(アデノシン三燐酸)を作る発電所である。1個のミトコンドリアには数個の環状のDNAがあり、エネルギー製造にかかわる37個の遺伝子をもっている。つまりATP合成酵素と呼吸鎖複合体の蛋白、そしてそれを作る遺伝子である。HIV感染症あるいはその治療薬により傷害されることがある。このミトコンドリア遺伝子異常の病気としては、アルツハイマー病や、さまざまな神経、筋肉の病気がある。受精の時に精子はミトコンドリアを卵子の中に持ち込まない。ミトコンドリアの中にある遺伝子DNAは、母親の卵細胞のミトコンドリアDNAを受け継ぐという、変わった遺伝形式をとる。

ミトコンドリア障害 Mitochondria toxicity

【概要】細胞のエネルギーATPはミトコンドリアで作られる。ミトコンドリア障害で細胞のエネルギー産生の影響を受けやすいのは、中枢神経系、心臓、骨格筋、腎臓、ホルモン分泌組織の順序といわれる。重症例では死に至る。筋肉や肝臓細胞では糖代謝の途中で発生する乳酸を処理することができなくなる。血中に蓄積して高乳酸血症、乳酸アシドーシスを起こすことがある。抗HIV薬核酸系逆転写酵素阻害薬によって、障害されやすい臓器に特徴がある。(1)AZT:筋肉、心筋、肝臓、脂肪細胞。(2)ddCddId4T:末梢神経、脂肪細胞。(3)TDF:尿細管。

脈波速度 PWV: Pulse wave velocity

【概要】血圧脈波検査装置は日本で開発された。両側の上腕と 足首に血圧計、胸壁に心電計の端子を装着して10秒あまり連続計測する。心臓から血液が送り出される脈波の伝導速度は、動脈が軟らかければ壁が伸展して遅くなり、動脈壁が固いと早く伝わる。簡便性、再現性、利便性も良い。性別、年齢別の健常者と比較して、被検者の動脈の硬さを調べる。

【基準値】健常人の中央値は20歳代男性で1.15m/秒、女性で0.992m/秒あたり。閉経後は男女差がなくなり50歳代では1.27m/秒あたり。早くなるほど心血管疾患の発症率は高くなり、大規模調査では1.7m/秒を越えるとリスクは8倍を越える。山科らは心血管疾患発症予測値の指標として、1.8m/秒を提唱している。

ミンテゾール Mintezol

駆虫剤。『チアベンダゾール』の商品名。詳細は、『チアベンダゾール』を参照。

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