中四国エイズセンター
HIV/AIDS(エイズ)のこと

エイズ関連用語集 ver.9

B

BBB BBB: Blood Brain Barrier

『血液脳関門』のこと。『血液脳関門』を参照。

BCG BCG: Bacillus Carmette-Guerin

【概要】結核予防用のワクチンで、ウシ型の弱毒結核生菌。増殖力は弱いが細胞性免疫能を誘導する力が強く生着しないで排除される。免疫が成功するとツベルクリン反応は陽性にかわる。ツベルクリン反応が陰性の人は結核菌に感染したことがないものとみなし、免疫力をつけさせるために接種するが、年月がたつと効力は弱まる。結核が公衆衛生上で大きな脅威となっている地域では、ツベルクリン反応でスクリーニングし、BCG接種をして地域社会として結核への抵抗力をつけることが、結核流行を予防することに貢献した。成人でのBCG接種が結核予防に有効かどうかは確定していない。先天性免疫不全症やエイズなどの患者にBCGを注射すると、菌が生着して感染症を起こす危険性がある。

BEDアッセイ BED assay

【概要】感染初期とは「感染後間もない時期でHIV抗体が完全に上昇していない時期」の総称である。米国CDCの開発したBEDアッセイではこの基準をキットで定め、検査で陽性の場合を最近の感染、陰性の場合を慢性期の感染と判定している。具体的には、感染者の血液中のIgG抗体のうち、HIVに対する抗体がどれくらいを占めるか比率でみる。カットオフ値としてOD-nが算定され、ODn≤0.8をRecent infectionと判定する。注意事項としては、CD4数が減少し抗体産生が減少している場合も低値となる場合がある。また名前の由来でもあるように、サブタイプB,E,Dのエンベロープ抗原のペプチドで作っているので、全てのサブタイプを反映しない。使用用途としては個々の患者の判定用ではなく、集団の疫学解析に適している。本キットは研究用試薬である。

BMD BMD: Bone mineral density

骨密度』を参照。

B型肝炎 Hepatitis B

【概略】B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる肝臓病の総称。世界の持続感染者(キャリア)と一過性感染はそれぞれ3.5億人と20億人、日本は100万人と1000万人と推定。HIVと治療薬が重なることにも注意が必要。HBVの重(複)感染に気づかずHBVに効果がある抗HIV薬を中断すると、HBVが再活性化して肝炎が重症化することがある。逆にHIVの重感染に気づかずB型肝炎の薬を単剤で使用すると、HIVが薬剤耐性を獲得することがある。B型肝炎の経過は宿主免疫能に大きく依存している。HBV陽性の母親から出産時に児が感染すると多くはキャリアとなる。生涯肝炎を発病せずに過ごすか、自然に排除するものもある。一方で慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌に進むことがある。はどの病期でも発生する。

【予防】妊婦検診でキャリアと判定されたら、新生児にワクチンとHBs抗体(HBIG)を注射してキャリアになるのを防ぐ。ワクチンは2016年4月以降に生まれた幼児には、定期接種になった。商品名はビームゲン(化血研)、ヘプタバックス-II(MSD)。献血で検査をするようになったため、輸血による感染は激減した。感染経路は、性行為感染と血液感染。そのためHBV感染者の性的パートナーと新規雇用の医療者で、未感染者の場合ワクチン接種を行う。HIV感染者では必ずHBVのチェックを行い、未感染ならワクチン接種を勧めることが大切である。接種後はHBs抗体の量(抗体価)が10mU/mL以上に上昇することを確認する。抗体価の上昇が得られない場合は、使用量を倍にする方法が考えられる。抗体価が低下した人が感染した報告があるので再度接種すべきか議論が必要である。

【検査】血液で測定できる検査は以下の通り。(1)HBs抗原:ウイルスの表面抗原。陽性者は必ず感染者である。(2)HBs抗体:HBs抗原の中和抗体。現在の検査系で両者が同時に検出されることはほぼない。HBs抗体が陽性の場合は、既往の感染か潜在感染(肝炎を発症せず、HBVが肝臓でおとなしくている状態)またはワクチン接種者。既感染やワクチン接種の場合時間がたつと低下し、消えることもある。曝露後感染予防には10IU/mL以上が必要。(3)HBc抗体:HBVの核蛋白に対する抗体。陽性の場合は現在と過去の感染。低下するときはHBs抗体よりも先に消えることもある。HBc抗体のみ陽性者の中には、低力価のHBV感染者がある。(4)HBe抗原:HBVの核蛋白の一種。陽性の場合はウイルス量も多く、肝炎の活動性が高い。(5)HBe抗体:陽性の場合はウイルス量が低下した肝炎。HBs抗原は陽性である。(6)HBV DNA:ウイルス量をPCR法で測定する。HBs抗原陽性者では検出限界以下から10の9乗まで幅広い。

【治療】治療が必要なB型肝炎を合併したHIV感染症の場合、肝臓専門家の協力を得ながら両方のウイルスの治療を行う。急性肝炎では劇症化を避けること、慢性化を避けること、慢性肝炎では肝硬変・肝癌への進行を防ぐことが目的である。急性肝炎の大半は自然治癒するが、MSMの間で流行している遺伝子型(=ジェノタイプA)では慢性化しやすい。劇症肝炎の治療は治癒傾向がなければ肝臓移植となる。B型肝炎の進行を止めるために、HBVの排除を目指してインターフェロンや逆転写酵素阻害薬(NRTI)が使用されている。

B型肝炎ウイルス Hepatitis B virus: HBV

【概要】B型肝炎を起こすウイルスで遺伝子はDNAである。HBVは広く世界に分布し、日本の持続感染者数は100万人と推定される。HBVの遺伝子型分析ではヨーロッパは遺伝子型AとD、アジアではBとCが主で肝癌の発生が多い。日本の90%がCであるが、沖縄ではBが60%である。最近の成人発症の急性肝炎の大半が遺伝子型Aで性行為感染が多い。ウイルスが肝細胞に感染するとそのDNAが肝細胞のDNAに組み込まれる。ウイルスの複製過程のなかに、一度プレゲノムRNAが合成され、このRNAを鋳型に逆転写酵素が働いてウイルスDNAが合成される。細胞内で別に作られたHBs抗原とともにウイルス粒子が形成され、細胞膜に包まれて出芽する。この逆転写酵素はHIVと同じような核酸アナログで阻害されるので、治療薬のターゲットになっている。血液感染、性行為感染があるが、ワクチンは任意接種であり、医療者や妊婦以外はその費用は自費である。感染経路はHIVと同一であり(性行為感染、血液感染、母子感染)なので重(複)感染する例も多い。

B細胞 B cell, B lymphocyte

【概要】Bリンパ球ともいう。免疫グロブリン(つまり抗体)を作る細胞の仲間。ヘルパーT細胞からの情報をもとに、その異物特有の抗体(=病原体を排除するタンパク質)を作るリンパ球。またその情報を記憶しておき、次に同じものが入ってきた時に速やかに対処する(=メモリー B細胞)。細胞表面にはCD19、CD20という細胞表面のタンパク質を持っている。実際には血中にいるB細胞は若者である。骨髄や脾臓に移り住んで抗体を作る形質細胞になる。エイズ患者で好発する悪性リンパ腫はB細胞が起源になるものが多い。これは発ガン性ウイルスの一つであるEBウイルスによるB細胞の化と考えられている。治療にCD19に対するモノクローナル抗体リツキシマブが利用できる。

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