全国版

厚生省エイズ治療のためのブロック拠点病院と拠点病院の連携に関する研究班

主任研究者:吉崎和幸(大阪大学健康体育部)

全国版編集者:高田 昇(広島大学医学部附属病院)

ごあいさつ

主任研究者:吉崎和幸(大阪大学健康体育部)

■ 我が国で14年前に最初のHIV感染症例が報告されて以来、いまだに感染者数は上昇傾向を示し、4,000人を越える報告者数になっています。潜在的には30,000人を越えているともいわれ、今も増えつづけています。地域的にも首都圏中心から地方にも広がっています。しかし、疾患治療の重大性や予防の必要性を知りつつも、感染者の絶対数が少なく、また疾患に対する偏見もあって、専門医療従事者の絶対的不足をきたしています。
■ この現状から、患者が日本のどの地域においても適切なHIV高度医療を受けることのできる医療体制の早期確立が望まれています。厚生省はそれに対応すべく、HIV診療の中枢として東京の国立国際医療センター内にエイズ治療・研究開発センターを設立し、全国8ブロック地域には地方診療の核となるブロック拠点病院を、そして各都道府県に合計364の拠点病院を選定しました。しかし、このような病院を選定したからといって、HIV診療体制が確立されたとは限りません。
■ 我々の研究班はこの形式的な体制を実質的な診療組織体制に確立することを目的として研究活動を行っています。特にブロック拠点病院の診療水準の向上と医療施設の整備、及び地域の拠点病院との連携による地域医療水準の向上と地域格差の是正を目標としています。
■ HIV診療についてはHIV感染症の病態、抗HIV薬、看護、カウンセリング、外国人患者医療、拠点病院、保健所との連携、保健医療、法律、NGO活動、患者支援等の幅広い問題が関連し、極めて多岐に亘る情報を必要とします。最近特にエイズ治療におけるブロック拠点病院の活動に対する期待が強まり、ブロック拠点病院の情報の供給源としての役割も強く求められています。
■ ところで、従来より中国・四国ブロックでは中四国エイズセンターニュースレターが発行され、ブロック内で好評であったばかりでなく、班員の各ブロック拠点病院でも注目されていました。そこで班の研究活動の1つとして、ブロック拠点病院からHIVに関するニュースレターを発行し、全国のHIV関連医療従事者・患者のみならず、一般の医療機関や一般市民にまで情報を提供することを試みました。紙面の前半を全国的なニュース、後半をそれぞれのブロック特有の地方的ニュースという構成にして、全国的な動きをお知らせすると共に、地域に根ざした身近で利用度の高い話題や情報をお届けいたしたいと思います。
■ このニュースレターが、今後厚生省の努力によって持続的に発行され、広くHIVに関連している人々はもちろんのこと、一般の人々にも読まれHIV診療の現状や問題点を知り理解が深められることを願っています。


エイズUpDateジャパンの発刊にあたって

全国版編集者 高田 昇(広島大学医学部附属病院輸血部)

■ 当初から「全国版にして配布して欲しい」という要望がありましたが、断ってきました。理由としてはターゲットをローカルな中四国に置きたかったからです。例えば私は東京の情報を知りません。またNHKのような(?)不偏不党・公平中立的な発信はできません。一つの事象を知らせるにも、発信者のスタンスや手法があります。情報の受け取り手の違いでも、伝わっていく内容が変わっていくものです。
■ エイズUpDateジャパンは、厚生省や研究班などの認識・共通意見を反映しているものではありません。むしろ誤解を恐れず、編集者のフィルターがついた光で照らしたいと思います。情報の受け手の方で「こういう見方もあるのか」と感じていただき、ご自分の考えで取捨選択していただくことをお願いします。
■ エイズUpDateジャパンは前半の【全国版】と後半の【ブロック版】で構成されています。前半は広島で編集し、版下として各ブロック事務局に送ります。各ブロックでは後半を編集してつなぎ合わせ、一冊として印刷するというやり方です。日本のエイズで今何が問題になっているのか、今、私たちはどこにいるのかを手作りでお伝えしたいと思います。

■ 読者を特に医療者とは限定していません。患者さんや周囲の人たちにも届くことを望んでいます。また全国に紹介したいニュースの提供も欲しいと思います。ご意見や感想も歓迎です。DOSのテキストファイルで郵送頂くか、E-mailをご利用下さい。

日本エイズ学会入会をお勧め

■ エイズ学会というのは臨床医はそう多くなく、基礎研究者、看護、薬剤師、検査技術者、製薬会社、心理やMSW、ボランティア、患者、行政、マスコミ、教育関係者など実に様々な人たちで構成されているちょっとユニークな学会です。総会に参加すると日本のエイズ研究と周辺の状況がわかります。エイズ拠点病院の担当者の方は、できれば入会をお勧めしたいと思います。

■ 会員数は1998年8月現在、約1300人です。理事は20人で任期は4年。半数が2年に1回、会員全員による郵送直接選挙によって選ばれます。一人で3票あり、基礎、臨床、それ以外というようにバランスをとって記入するように勧められています。

■ 1997年4月1日から2001年3月31日まで任期の継続理事(敬称略)は、上田重清(阪大微研)、岡 慎一(国立国際医療センター)、岡本 尚(名市大医学部)、斎藤英彦(名大医学部)、長尾 大(神奈川県立こども医療センター)、根岸昌功(都立駒込病院)、速水正憲(京大ウイルス研)、原田信志(熊大エイズ研)、馬場昌範(鹿大難治ウイルス研)、山崎修道(国立感染研)です。また1999年4月1日から2003年3月31日まで任期の新理事は、生田和良(北大免疫研)、岩本愛吉(東大医科研)、内山 卓(京大医学部)、倉田 毅(国立感染研)、小柳義夫(医科歯科大医学部)、白阪琢磨(国立大阪病院)、高田 昇(広大病院)、福武勝幸(東京医大)、松下修三(熊大エイズ研)、三間屋純一(静岡県立こども病院)です。

■ 残念なことは現在の理事は基礎系と臨床系の半々で、それ以外の方が選ばれていないことです。次期はもっと色々な方が理事に選ばれると日本のエイズも変わるかも知れませんね。理事長は全理事の中から選挙によって上田重清先生が選出されました。この方法なら新旧交代があるという利点がありますね。

事務:財団法人日本学会事務センター

〒113-8622 東京都文京区本駒込 5-16-9

学会センター

【入退会についての会員業務】

Tel 03-5814-5810, Fax 03-5814-5825

URL http://www.bcasj.or.jp/index.html

公開シンポジウム

〜 エイズ医療体制の確立を目指して 〜

■ 去る、1999年2月27日(土)9:00〜17:00、東京国際フォーラムで公開シンポジウムが開催されました。主催は厚生科学研究班の「HIV感染症の医療体制に関する研究」班(南谷班)と、「エイズ治療の地方ブロック拠点病院と拠点病院間の連携に関する研究」班(吉崎班)合同で、エイズ予防財団、東京都衛生局、日本エイズ学会が後援しました。参加者数総計は800名前後かと思います。
■ 最初に南谷幹夫先生(杏林大学客員教授)の発声で、1月1日に亡くなった山形操六先生(エイズ予防財団理事長)への黙祷がささげられました。班研究シンポジウム「エイズ診療体制の確立:地方ブロックにおける問題点とその解決」は、各地方でどのような取り組みがされているか、どのような問題があるか、という話でした。
■ 午後1時からは20の分科会に別れた「エイズ医療体制の確立を目指して」というワークショップが1時間、全体でのワークショップ総括が2時間でした。最後に秋山昌範先生(国立国際医療センター)の「エイズ診療ネットワークの将来 - 医療ネットワークの将来像 -」という特別講演がありました。
■ このシンポジウムの狙いは構成から想像すると、「みなさん見て下さい。エイズ治療・研究開発センター-ブロック拠点病院-拠点病院という体制はできましたよ。問題は山積みかも知れないけど、みんなで解決に努めていきませんか。」というメッセージだったように見受けられました。
■ 終わった後に何人かの人の感想を聞きました。「80点です。全体がこんなになっているということがわかって良かった。」これは新規参入の人の話。「60点ですね。何と言おうと、全国からこれだけ関係者が集まってくれたからです。中身はこれからですが。」これはある原告の話。「40点ですね。40点と予想したらやっぱり40点だったということです。」これは古くからエイズに関わって活動している人の話。このように立場が変わると、同じシンポジウムでも評価が別れるものです。
■ どうも一方的な発表会に終わったという印象が残ります。シンポジウムというものは、お互いの意見の交流があるべきだし、ワークショップ(Workshop=工房)は作り上げるという意味で、テーマが広がりすぎ時間不足でした。とは言いながら、事務局として陰で活躍された皆さんにはご苦労さまでしたと申し上げます。[TAKATA]


エイズ予防法から感染症新法へ

<歴史的背景>
■ 感染症は歴史的に人間の生命に脅威を与え続けてきました。数々の病原体の発見に続き、ペニシリンなどの発見のように、近代医学の発展で感染症の脅威から解放されたかにみえました。現代人は少し安心しすぎたかもしれません。エイズなど新たにみつかった病気(新興感染症)や、結核など古くからあった病気が再度問題になってきました(再興感染症)。
■ これまで日本は、伝染病予防法、性病予防法、らい予防法、結核予防法、エイズ予防法で対処してきました。ところがエイズ予防法成立の時に相当な社会的批判が起こりました。旧来の法体系では感染症の拡散を防ぐことに主眼が置かれ、病者の治療を受ける権利や基本的人権に対し冷酷だったというものです。感染症への対処には、公衆衛生基盤の再構築、治療体制の整備、サーベイランスの強化、研究の推進と人材養成、国際的な協力などが必要で、裏付けとなる法律体系の見直しが必要でした。
■ らい予防法が与え続けた患者の“社会的な死”を思い起こして下さい。私たちは数え切れない多くの悲劇に目を閉じ続けていました。関係者の長年の夢であった、らい予防法が廃止されました。引き続き伝染病予防法、性病予防法、エイズ予防法が廃止され、新しい感染症予防法ができたのです。なお結核予防法はこのままとされました。

<作成される特定感染症予防指針>
■ 1999年4月から施行された新感染症予防法の正式な名称は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」です。新法では感染症を4類型に分類して、それぞれの対策の概要を決めています。第6条でエイズは4類となり、サーベイランスと医療機関や国民への情報提供が対策とされています。診療は一般医療機関で医療保険が適用されます。第11条では特に総合的な予防施策を推進する必要があるとして「特定感染症予防指針」を作成し公表するとなっており、エイズについても現在作成中です。

<届け出義務について>
■ 感染・発病・死亡を診断した医師は7日以内に届けなければなりません。届けをしないと罰されます。これまでHIV感染症については患者の居住地の都道府県知事、あるいは政令都市、中核市の長に届けていました。今後はその医療機関を所轄している保健所を通じて知事に届けることになりました。広島の患者さんが札幌にたまたま出張していて、そこで感染者とわかったら、北海道でカウントされると言うことです。これまで都道府県別の感染者として公表されていましたが、崩れてしまいます。前と同様に個人特定情報がほとんどありませんから、重複登録はチェックできません。

<守秘義務について>
■ 元々医療者には守秘義務があります。でも罰則がついていませんでした。これまでエイズだけ罰則がついていた守秘義務ですが、今回からこの法律がカバーする病気は全部に罰則がつきました。特に注意を促したいと思います。バスの中で「**さんって、B型肝炎なんだって」と正当な理由がなくしゃべれば、それは守秘義務違反です。
■ 第67条では、医師は1年以下の懲役、または50万円以下の罰金、また公務員についても同様の罰則になっています。第68条ではそれ以外の職業上で知り得た人の場合は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金となっています。
■ これだけではありません。公務員の場合は公務員法違反による処罰が待っています。民事訴訟も発生する可能性はあります。さらに“守秘義務に違反した最低の医療機関”とマスコミに報道されれば、社会的経済的な損失は計り知れません。処罰や損失といった“おどし”ではなく、患者に安心して療養できる環境を提供できる、高いモラルの職場であるという“ほこり”をもって、患者の秘密を守りたいものですね。[TAKATA]


使いやすくなったエイズの診断基準

■ 1999年4月から、日本のエイズ診断基準がマイナーチェンジしました。これはアメリカの基準を参考にしながら、日本で適正に診断するために厚生省エイズ動向委員会の元に小委員会が設けられ、検討された結果です。結果はご覧のように、CD4数の導入や23の疾患の手直しはされませんでした。理解しやすいように病原体の種類別に整理されました。あと、HIV抗体検査法に免疫クロマトグラフィー法が加わったのが特徴です。以下、当方で改変したものを掲載します。[TAKATA]

 《厚生省エイズ動向委員会によるAIDS診断のための指標疾患の診断法》
  病名 説明 確定診断 臨床的診断
A 真菌症

1.カンジダ症

食道、気管、気管支又は肺

(いずれか一つに該当)

@内視鏡もしくは培検による肉眼的観察によりカンジダ症を確認 

A患部組織の顕微鏡検査によりカンジダを確認

 嚥下時に胸骨後部の疼痛があり、以下のいずれかが確認される場合

@肉眼的に確認(いずれか一つ)

<A>紅斑を伴う白い斑点

<B>プラク(斑)

A粘膜擦過標本で真菌のミセル様繊維を顕微鏡検査で確認できる口腔カンジダ症が存在

2.クリプトコッカス症

肺以外

(いずれか一つに該当)

@顕微鏡検査、A培養、B患部組織又はその浸出液においてクリプトコッカスを検出。

 -

3.コクシジオイデス症

肺、頸部もしくは肺門リンパ節以外に又はそれらの部位に加えて全身に播種したもの

(いずれか一つに該当)

@顕微鏡検査、A培養、B患部又はその浸出液においてコクシジオイデスを検出。

 -

4.ヒストプラズマ症

肺、頸部もしくは肺門リンパ節以外に又はそれらの部位に加えて全身に播種したもの

(いずれか一つに該当)

@顕微鏡検査、A培養、B患部又はその浸出液においてヒストプラズマを検出。

 -

5.カリニ肺炎

 

顕微鏡検査により、ニューモシスチス・カリニを確認。

(すべてに該当)

@最近3か月以内に(いずれかの一つの症状)

<a>運動時の呼吸困難

<b>乾性咳嗽

A(いずれかの一つに該当)

<a>胸部X線でび漫性の両側間質像増強

<b>ガリウムスキャンでび漫性の両側肺病変

B(いずれかの一つに該当)

<a>動脈血ガス分析で酸素分圧が70mmHg以下

<b>呼吸拡散能が80%以下に低下

<c>肺胞−動脈血の酸素分圧較差の増大

C細菌性肺炎を認めない

B 原虫症

6.トキソプラズマ脳症

生後1か月以後

組織による病理診断により、トキソプラズマを確認

(すべてに該当)

@<a>頭蓋内疾患を示唆する局所の神経症状または、

<b>意識障害

A<a>CT,MRIなどの画像診断で病巣を認めるまたは、

<b>コントラスト薬剤の使用により、病巣が確認できる

B<a>トキソプラズマに対する血清抗体を認めるまたは

<b>トキソプラズマ症の治療によく反応する

7.クリプトスポリジウム症

1か月以上続く下痢を伴ったもの

組織による病理診断または一般検査により、クリプトスポリジウムを確認

-

8.イソスポラ症

1か月以上続く下痢を伴ったもの

組織による病理診断または一般検査により、イソスポラを確認

-

C 細菌感染症
9.化膿性細菌感染症 13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により、@敗血症A肺炎B髄膜炎C骨関節炎D中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍のいずれかが、2年以内に、二つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの 細菌学的培養により診断 -
10.サルモネラ菌血症 再発を繰り返すもので、チフス菌を除く 細菌学的培養により診断 -
11.活動性結核 肺結核又は肺外結核 細菌学的培養により診断 培養により確認できない場合には、X線写真等により診断
12.非定型抗酸菌症 - 細菌学的培養により診断

下記のいずれかにおいて、顕微鏡検査により、結核菌以外の抗酸菌を検出した場合は、非定型抗酸菌症と診断。

<a>糞便、汚染されていない体液

<b>肺、皮膚、頸部もしくは肺門リンパ節以外

D ウイルス感染症
13.サイトメガロウイルス感染症 生後1か月以後で、肝、脾、リンパ節以外 組織による病理診断により、核内封入体を有する巨細胞の確認 サイトメガロウイルス性網膜炎については、特徴的臨床症状で診断可。(眼底検査によって、網膜に鮮明な白斑が血管にそって遠心状に広がり、数か月にわたって進行し、しばしば網膜血管炎、出血又は壊死を伴い、急性期を過ぎると網膜の痂皮形成、萎縮が起こり、色素上皮の斑点が残る。)
14.単純ヘルペスウイルス感染症 1か月以上継続する粘膜、皮膚の潰瘍を形成するもの、生後1か月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を合併するもののいずれか @組織による病理診断、A培養、B患部組織又はその浸出液からウイルスを検出することにより診断。 -
15.進行性多巣性白質脳症 - 組織による病理診断 CT,MRIなどの画像診断法により診断

E 腫瘍
16.カポジ肉腫 - 組織による病理診断

肉眼的には皮膚または粘膜に、下記のいずれかを認めること。

@特徴のある紅斑

Aすみれ色の斑状の病変

ただし、これまでカポジ肉腫を見る機会の少なかった医師は推測で診断しない。

17.原発性脳リンパ腫 - 組織による病理診断 CT,MRIなどの画像診断法により診断
18.非ホジキンリンパ腫 LSG分類による@大細胞型、免疫芽球型ABurkitt型 組織による病理診断 -
19.湿潤性子宮頸癌 - 組織による病理診断 -

F その他
20.反復性肺炎 1年以内に二回以上の急性肺炎が臨床上又はX線写真上認められた場合に診断 - -
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex 13歳未満 組織による病理診断 胸部X線で、両側性の網状小結節様の間質性肺陰影が2か月以上認められ、病原体が検出されず、抗生物質療法が無効な場合。
22.HIV脳症(痴呆又は亜急性脳炎)

下記のいずれかの状態があり、@脳脊髄液検査、A脳のCT、MRIなどの画像診断、B病理解剖のいずれかによっても、HIV感染以外にこれを説明できる疾病や状況がない場合。

<a>就業もしくは日常生活活動に支障をきたす認識もしくは運動障害が臨床的に認められる場合

<b>子供の行動上の発達障害が数週から数か月にわたって進行

これらは確定的な診断法ではないがサーベイランスの目的のためには十分である。

23.HIV消耗性症候群(全身衰弱又はスリム病)

以下のすべてに該当するもの

@通常の体重の10%を超える不自然な体重減少

A慢性の下痢(1日2回以上、30日以上の継続)又は慢性的な衰弱を伴う明らかな発熱(30日以上にわたる継続的もしくは間歇性発熱)

BHIV感染以外にこれらの症状を説明できる病気や状況(癌、結核、クリプトスポリジウム症や他の特異的な腸炎など)がない

これらは確定的な診断法ではないがサーベイランスの目的のためには十分である。


動き始めたA-net

Q&A:国立国際医療センターホームページより

国立国際医療センター 岡 慎一

参考:URLhttp://www.mhw.go.jp/topics/a-net/tp0114-1_11.html

Q1. A-netとは何ですか?

A.HIV診療支援ネットワークシステムの略称です。HIV感染者が地元で安心して医療が受けられる様にという目的で、全国に約360カ所のHIV治療のための拠点病院が指定されています。A-netとは、これらの拠点病院をより有機的に連携しHIV診療を支援するネットワークシステムです。患者さんがネットワークで結ばれたどの拠点病院を受診しても、同じカルテを使用することにより、少なくとも現状のHIV診療レベルを満たした同じ医療を受けられる事を目的に構築されたものです。

ただし、A-netはあくまでも同意の得られた患者さんを対象に使用することになっておりますので、知らないうちにA-netに登録されていたというようなことはありません。

Q2. A-netの特徴はどんなところですか?

A.1患者1カルテシステムということがまず第一の特徴です。

 現状の医療では、カルテは病院に所有され患者さんのものではありませんでした。従って、複数の病院を受診した場合には、それぞれの病院でカルテが作成され、それらには何ら連携がありませんでした。従って、同じ検査が繰り返されたり、併用してはならない薬剤が処方されてしまったりといった不都合が発生することもありました。

 これに対し、従来の医療上の大きな問題点が、A-netによって可能になった1患者1カルテシステムの導入により解決されることになります。普段は地元の病院にかかり、年に数回東京の病院を受診する場合にでも、それぞれの病院からすべての診療データをみながら診療することができるようになるわけです。

Q3. 一つの病院にしかかかっていない場合にはメリットはないんでしょうか?
A.検査結果や診療録が一元的に電子保存されるため、それらを表やグラフにすることが可能となり治療経過がわかりやすくなります。治療結果が分かりやすいわけですから、受けている治療を納得しやすいわけです。
Q4. 他にはどんなメリットがありますか?
A.同じ目で見て書き込まれた診療情報を全国レベルで把握することができます。A-netを用いることにより、同じ目で見た診療情報が集められ、個人情報をはずした後で自動集計することが可能になります。すなわち質の高い疫学研究が可能になるわけです。こうして集められた医療情報の一部は自動的に解析され、A-netに登録されている医師であればいつでも閲覧することが可能となっています。
Q5. 利用する上で問題点はあるのでしょうか?
A.入力に時間がかかることや使用ルールの遵守など実運用上の問題点はいくつか解決しなくてはいけません。また、システム的には個人情報の保護に関しかなり高いsecurity機能を備えていますが、これを確実に運用していくためには、使用する個人個人が決められたルールを遵守する必要があります。
Q6. これまでの準備状況を教えてください。
A. 患者情報をネットワークを用いて共有しようという全く新しいシステムですから、厚生省、患者原告・弁護団、国立国際医療センターなどからなるHIV診療支援ネットワークシステム部会(システム部会)を立ち上げ、Anet管理要綱や細則の作成、地方での説明会などを繰り返しながら慎重に立ち上げてきました。平成10年11月16日にACCと4ブロック拠点病院で試験運用開始。平成11年2月8日に国立の拠点病院で試験運用開始(29施設)となっております。


HIV-1ウイルス量とエイズへの進展の性差
原題: Sex differences in HIV-1 viral load and progression to AIDS
著者: Farzadegan H. et al.
出典: The Lancet 1998;352:1510-14.

■ 背景 ■
血漿中のHIV-1 RNA量は抗HIV薬開始の指標として使われている。女性と男性でウイルス量が病気の進行に差があるかどうかはわかっていない。

■ 方法 ■
 われわれはコミュニティ診療所における継続的観察研究に参加した注射薬使用者(IDU)650例から812検体について検討した。最初の観察時には分枝DNA法で527例のHIV-1量を測定し、285例については3年間、それに引き続きRT-PCR法、そしてミクロカルチャー法で定量した。

■ 結果 ■
 女性のウイルス量平均値は男性より低値であり、bDNA法では(3365対8907コピー/ml, p=0.001)、RT-PCR法では(45416対93130コピー/ml, p=0.02)そして定量的ミクロカルチャー法で(5対8感染単位/100万PBMC; p=0.015)であった。これはCD4数、人種、先行する6ヶ月以内の薬物使用で補正しても有意であった。CD4数で補正したunivariate proportional hazards modelでエイズ発病までの期間は、男性と女性で統計的に同等であった。proportional hazards modelでは女性は男性に対しエイズ発病の危険性が1〜6倍高かった(95%信頼限界:1.10-2.32)。また同様に女性がエイズになるまでの期間はウイルス量が男性の半分で同等となっていた。

■ 解釈 ■
 生物学的な機序は不明であるが、これらのデータから、現行の抗HIV療法を開始すべきとされるHIV-1ウイルス量の閾値は、女性の場合下方に修正すべきであると考える。

COMMENT
● この報告はJohns Hopkins大学のグループからのものです。研究開始時は1988年です。つまりエントリー開始時('88-'89)保存検体はbDNA法(感度、500コピー以上)でやりました。3年後('92-'93)のものはRT-PCR法でやっているので、単純比較はできません。データの連続性が欠けるところがちょっと残念です。観察期間中の抗HIV療法は、少数の例でAZTが使われている程度で、長期の自然歴をあまり変えてしまうほどではなかったようです。
● 以前からエイズ発病には男女差があるという報告がありました。これまでの抗HIV療法開始の推奨基準は、主としてMSM(男性と性行為をもつ男性)の患者データを利用していました。これは男女に差がないという仮定にたっています。ところが、女性が同じCD4数、同じエイズ発病までの期間であってもHIV RNA量は半分であるということになると、ウイルス量に依拠した推奨治療は修正を余儀なくされます。
● 今回の検討で、理由はわからないけど女性のウイルス量は男性の約半分であることが見いだされました。なぜ低いか。HIV-1を増やす刺激の一つにTNFαというサイトカインがあります。これと女性ホルモンのエストロジェンとの間には逆相関があるそうで、女性のTNFαが男性より低い可能性があります。しかしウイルス量が少なくても同じようにエイズに進行することは説明が困難です。ウイルスの産生量と消退する速度が男女で違うのかも知れません。[TAKATA]


薬剤耐性HIVの脅威

アメリカでは薬剤耐性のHIVが蔓延してきた
■ HIVは変異して姿形を変えやすためワクチンを作るのが難しいという問題があります。抗HIV薬がターゲットとしている酵素に変異が起こったら、薬剤耐性HIVが生まれます。1999年2月にシカゴで開催された第6回レトロウイルスと日和見感染症会議の中で、米国のある新規HIV感染者の20〜30%が薬剤耐性のHIVだったという報告がありました。HIVは中途半端な薬の濃度では完全に抑制できず、化学構造を変えて薬の効果をすり抜ける、つまり耐性HIVが選択的に生き残る可能性があります。
■ 耐性HIVは毎日決まった薬の量を守っていない患者さんで発生しやすいことがわかっています。薬を飲まない患者さんが悪い、薬そのものが悪い、飲めない処方をする医師が悪い、HIVそのものが悪いなど色んな理由があります。根本的な解決法は、飲み方が簡単で、副作用がなく、錠数の少ない、効果が高い新薬ができることが一番です。とはいえ、あらためて効果がある服薬方法を援助すること、また薬を飲んでいても感染予防の行動がとれるよう、医療者の取り組みが重要です。

薬剤耐性検査のニーズ
■ 会議の中では2種類の薬剤耐性検査法についての発表がありました。一つは「遺伝子型(genotype)」です。これはHIVの遺伝子を増幅して核酸の配列を調べ、耐性ウイルスと同じ構成かどうかを見つける方法です。この検査では13種類の抗HIV薬の耐性遺伝子がわかります。トロントのVisible Genetics社の検査キットはFDAに申請中で、1回の検査代が500〜600ドルを予定しています。他に日本ではPE Biosystem社がキットを発売しています。
■ 遺伝子型検査は人手さえあれば、比較的早く結果を出すことができます。また再現性も比較的良いようです。問題は結果の解釈です。1つの変異で耐性と言える場合や複数の組み合わせで耐性と解釈する場合があり、判定には専門的な知識が必要です。またこの検査法では検出されたHIVに対し、今後使うべきでない薬を指摘することはできますが、効く薬を言い当てることはできません。
■ もう一つの検査法は「表現型(phenotype)」です。ある濃度の薬をまぜた液体入りの試験管の中で、ウイルスが細胞内で増殖できるかどうかを検出するものです。ウイルスを13種類の薬剤とともに数週間ものあいだ培養する必要があります。もしウイルスが増えれば、それはその薬剤に耐性と言うことで、結果の解釈は比較的楽です。ブラッセルのVirco社の表現型検査法はアメリカとヨーロッパで800ドルで売られています。南サンフランシスコのViroLogic社の表現型検査は、今年の年末には900ドルで発売の予定です。

日本の耐性検査の体制
■ 現在、学会発表などで知り得た範囲では、表現型検査については慶応大学で検討されています。人手、お金、時間がかかるので広く検体を受け入れることはできないようです。遺伝子型検査は国立感染症研究所エイズ研究センターの方法が、ACC、国立大阪病院、そして北大で実施されているそうです。いずれも“研究”として行われており通常の日常臨床検査にはなっていません。
■ 今後は標準化されたキットを使って大手の検査会社が検査を受注し、専門家が結果解釈のアドバイスをするという体制が望ましいと思います。検査の普遍性、妥当性があるということになれば、当然保険収載とするべきです。値段は高くなりますが、高額な抗HIV薬を無駄に飲み続けると思えば、見合うのではないでしょうか。[TAKATA]


免疫クロマトグラフィー法によるHIV抗体導入の波紋

イナボット社では1999年1月に、新しい抗HIV-1/2抗体のスクリーニング検査試薬である「ダイナスクリーン・HIV-1/2」を発売しました。1箱100回分で希望価格は63,500円です。10枚のシートが入っており、1枚のシートには10本の短冊状の試験紙があり、切り離せるようです。つまり1人1本使い、残りはとっておけるようです。以下、パンフレットから転載してコメントします。

【ダイナスクリーン・HIV−1/2の特徴】
(1) 前処理なしの全血が使え、緊急検査にも対応。
いつでも、どこでも判定できる即時検査です。
(2) 全血が使えます。
血清、血漿、全血による前処理なしの検査です。
(3) 簡単、ワンステップ操作。
検体50μlを摘果するだけで検査できます。
(4) 15分で判定できます。
(5) 赤色ラインでわかりやすい判定。
結果の判定は、赤色ラインの有無を読みとるだけです。
(6) 常温で保存できます。
検出用シートは1〜30℃で保存可能です。
メリカではすでに「Rapid test」が発売されていました。従来のELISA法やPA法では、被検者は採血をした後、1週間後に結果を聞きに出直さなければなりませんでした。仮に陽性率が1%の地域でも、99%の被検者は仕事を休まなければならなかったのです。採血直後に結果がわかることは大いに役立ちます。論文を読んだ限りでは、感度・特異性とも現行法と同等あるいはそれ以上という感じです。検討された範囲では偽陽性は少なそうです。でも陽性の場合はWB法などの確認検査が必要です。
れを採用すると、検査前カウンセリング、検査、検査後カウンセリングが一連の流れになってきます。しかし一方で、検査前カウンセリングにあたった人は、ただちに“陽性告知後のカウンセリング”をしなければならないということになります。このトレーニングをしっかりして、その後の医療にきちんと結びつけることが大きな課題になります。
療現場の針刺し事故への対応には優れています。曝露源の患者が陰性であれば、副作用があって無駄な抗HIV薬の服薬を飲まなくて済むのですから。[TAKATA]

ご存じですか?医薬品機構

■ 医薬品機構では(財)友愛福祉財団の委託を受け、血液製剤に混入したHIVにより健康被害を受けた方に、(1)受託給付事業(2)健康管理支援事業(3)調査研究事業を実施しています。対象者は、輸入血液製剤によるHIV感染者と二次・三次感染者、日本赤十字社が供給した輸血用輸血による感染者も含まれます。

■ 本人あるいは代理の人が申請する必要があります。制度を知らないと申請できず、制度も動きようがありません。まず主治医の方から伝えて下さい。医薬品機構の職員には法律上秘密保持義務が課せられていますから、感染者の方々のプライバシーは確実に守られます。詳しい内容や申請については、医薬品機構までお問い合わせ下さい。

医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構

(略称:医薬品機構)

〒100-0013 東京都千代田区霞ヶ関3-3-2

新霞ヶ関ビル9階

Tel : 03-3506-9415(ダイヤルイン)

Web : http://www.iijnet.or.jp/iyakuhin-kiko/Q4.htm


World mini News

《南アフリカのエイズ感染の広がり》
[ワシントンポスト 1999年3月4日] 南アフリカ共和国のNkosazana Zuma厚生大臣によると、この国では現在およそ340万人の人がHIVに感染しているという。これは成人の8人に1人の割である。HIV罹患率は1997年末は270万人であったので、この間に33%増加した。

《ロシュ社の超高感度HIV検査が承認》
[ニューヨークタイムズ 1999年3月4日] 米国食品医薬品局は、米国においてロシュ社が申請した新しいHIV検査薬を承認した。FDAの承認により、ロシュ社は患者の血中のウイルス量をもっと鋭敏に測定できるアンプリコアHIVモニター検査試薬を販売できるようになった。会社の話では、現行の検査試薬よりも新しい試薬は10倍感度が高くなっているという。これはHIV感染者の治療上大いに役立つだろう。

《ベトナム 2000年末の感染者は13.5〜16万人》
[ロイターヘルス 1999年3月5日] ベトナム政府のエイズ委員会によると2000年末の国内HIV感染者数は、13.5〜16万人に達する見通しとのこと。さらに14,000〜21,000人がエイズを発病し、10,000〜15,000人が死亡するだろうと言われている。一部の研究者らは政府の委員会は低く見積りすぎており、実数はその数倍と指摘している。

《アメリカでカポジ肉腫の外用薬が認可》

 1999年2月にFDAはアリトレチノイン製剤であるPanretin(R) Gelをカポジ肉腫治療用の外用剤として認可した。同剤は近くカナダやヨーロッパでも申請される予定だ。使用法は1日2回塗布。4〜6ヶ月分の薬代は3,900〜5,800ドルになる予定。主な副作用は皮膚過敏で7%の発生率で、重症なものでは中止が必要だ。

 Panretinの経口カプセルは現在、カポジ肉腫といくつかの癌で臨床第2相の治験が進行中だ。本剤の有効成分はアリトレチノイン、別名9-cisレチノール酸で、体内に自然にあるビタミンAの誘導体だ。2月に開催されたレトロウイルス会議では、Conantらによって402例の治験結果が報告された。

《インターネットで見るエイズ情報 その1》

HIV感染者における結核の予防と治療:

治療原則と改訂された推奨

http://www.cdc.gov/epo/mmwr/mmwr.html

原題: Prevention and treatment of tuberculosis among patients infected with human immunodeficiency virus: principles of therapy and revised recommendations.
サイト名: MMWR (CDC) Recommendations and Reports Vol.47/No.RR-20.

 CDCのMMWRの中でもRecommendations and Reports(RR)のページには、いつも重要な文書が載ります。今回はHIV感染者における結核合併症についての最新のレビューと推奨を掲載しています。pdf版で約744KB、印刷で約80ページです。26ページからはCDC編集の生涯教育(CME)用練習問題集になっています。回答用紙とそれを送るメールのタック(アメリカ国内だけ受取人払い!)がついています。その後ろには、推奨の治療薬のリストなど。文献も160編と豊富です。

《インターネットで見るエイズ情報 その2》

第6回レトロウイルス会議の翌日サマリー掲載

http://hiv.medscape.com/conferences/retro99

 1999年1月31日から2月4日までにシカゴで開催された、第6回レトロウイルスと日和見感染症会議の翌日サマリーが、インターネットのMedscapeから提供されています。この会議は全世界から3000名の参加者を集め、最新の知見が発表されましたが、参加できなかった人のために、専門家によって編集されたサマリーをオンラインで読むことができるものです。このサイトは1年間、掲載を続ける予定です。エイズ専門医のためには有用なサイトです。


〜全国版編集後記〜
■ ニュースレターは紙のメディアで記録性が高いのですが、即応性に欠けます。特にエイズの業界は変化が早く、インターネットやe-mail以上の情報手段は考えにくいと思います。ホームページ(http://www.aids-chushi.or.jp)をご活用下さい。
■ “エイズUpDateジャパン”の著作権は全国版、地方版の発行者に属し、著作権は記事を書いた者に属します。事前に許可を得ずに販売したり、頒価がついた出版物に一部または全部を掲載してはいけません。引用する場合は“エイズUpDateジャパン”と出典を記して下さい。コピーして無料で配布することは構いません。[TAKATA]


中四国ブロック版

患者さんを紹介して下さい

★ 現在、診療されているHIV感染者について、診断や予防や治療について困ったことはありませんか?Second Doctor's Opinionはいかがですか?ぜひ広大病院にご紹介下さい。外来診療は、火曜日、木曜日の午後2時半までです。診察医やカウンセラーの時間調整が必要なことがありますから、あらかじめお電話で確かめて下さい。

広島大学医学部附属病院

輸血部:082-257-5581

原医研内科外来:082-257-5475
★ もし患者さんの容態が悪くて、広島に受診に行けない場合、医師を派遣することができます。経費は当方の予算が使えます。

エイズ講演会はいりませんか?

毎年、中四国各県を1回はまわってエイズについての講演をしたり、拠点病院の皆さんのお声を直接聞きたいと思っています。

1.各県内の連絡会議
★ 中四国ブロック全体の会議は年に2回、広島で開催されますが、これとは別に各県が主催する県内の医療機関連絡会議(色々な名称があります)が開かれていると思います。ご案内いただければ、できるだけ都合をつけて参加したいと思います。経費は各県がもっている予算を使うことになります。
2.拠点病院のエイズ研修会
★ 院内の職員を対象にした研修会に講師を派遣することができます。主催は各県、病院、中四国エイズセンターということになり、経費は各県になります。
3.病院内の症例検討会
★ HIV感染者の診療を実際に行っている医療機関で、院内や病院間で連携して症例検討会を行う場合も声をかけて下さい。当方が持っている調査研究費を使うことができます。短いレクチャーとの二本立ても可能です。

ご相談、ご質問などはこちらまで。

【中四国エイズセンター事務局】

〒734-8551広島市南区霞1-2-3

広島大学医学部附属病院 輸血部内

Tel 082-257-5581, Fax 082-257-5584

E-mail: takata@aids-chushi.or.jp


新しい届け出様式が決まりました

新感染症予防法にともなう届出(補遺)

■ 全国版で記載したように、新感染症予防法第12条の規定によって、HIV感染症・エイズの届け出が変わります。3月19日付の厚生省通知、健医発第458号に、新しい様式が掲載されています。7日以内に届けるということでは、かなり慌ただしいだろうと予想します。さて、問題の様式について説明します。様式そのものについては、最寄りの保健所あるいは県庁の担当課にお問い合わせ下さい。

◇初めて感染者であることを届ける場合◇
■ 今後は、血液製剤や輸血による新規感染者も、この様式4-3を使います。過去の輸血による感染者が新規にみつかる可能性はありますが、厚生省では「血友病患者の新規登録はない」と考えています。平成11年3月31日までに届け出済みの患者・感染者については新たに届ける必要はありません。

◇感染者が発病した、死亡したという場合◇
■ 今回、(別添)という様式がついています。「エイズ病原体感染者報告票(病状に変化を生じた事項に関する報告)」というものです。これによって過去に届けられていた感染者がエイズを発病した場合、または死亡した場合に届けるものです。例えば、すでに数が届けられていることになっている血友病患者が、新たにエイズ発病した場合や死亡した場合も、今後はこの様式を使わなければなりません。
■ エイズと診断した年月日と、エイズ指標疾患を記入します。また死亡した場合には、年月日と死亡の原因がエイズによるものであったかどうかも記載します。つまりHIV感染者が交通事故や自殺で死亡した場合も届け出が必要だと言うことになります。この際、前にHIV感染者と診断した年月日も記入する欄があります。他の病院からの紹介患者の場合は、これが必ずしも明確ではないことがあるでしょう。

◇サーベイランスとしての問題点◇
■ 全国版にも記載したとおり、患者・感染者そして病状変化があった場合も、届け出はすべて診断した医療機関を管轄する保健所となっています。感染、発病、死亡の3時点が一人の患者であるわけですが、同じ医療機関や同じ担当医であるとは限りません。ことに、HIV感染症は今後長生きするようになるので、全経過が20年を越える例が続出することになるでしょう。そうなると、患者は多くの医療機関にかかり、多くの医師のケアを受けることになります。
■ 重複登録をどこまで避けられるでしょうか。また変な話ですが、不完全な記録になると調査上は発病者が何十年も生存していることになる例も出てくるかも知れません。個人識別情報(例えば特殊なコードなど)がないと正確な動向調査は困難だろうと思います。[TAKATA]


日本版のガイドライン

「HIV感染症 治療の手引き」<第1版>

■ 1999年4月にHIV感染症治療研究会(代表幹事:木村 哲、満屋裕明)の編集による、「HIV感染症 治療の手引き」<第1版>が発行となりました。主に欧米の治療成績を参考にしながら、国内の経験を踏まえて第12回日本エイズ学会サテライトシンポジウム等で討議を重ねた結果です。
■ 患者さんは無症状あるいは軽い症状なのに、複雑で副作用の多い沢山の薬をいつまでも飲み続けなければなりません。しかも半年から1年で変わっています。抗HIV療法の基本を理解するために、このような冊子が発行されることは好ましいことです。

■ 必要な方は事務局に連絡をとって入手して下さい。患者さんと一緒に読むのもよいことです。

HIV感染症治療研究会事務局

〒107-0052 東京都港区赤坂 2-11-15

第2堀内ビル4F

 オフィス エム・アイ・ティ内

Tel:03-5575-7858 Fax:03-5570-5571


エイズ関連

本の紹介コーナー

誌名:アレルギー・免疫

巻号:1999年4月号(Vol.6 No.4)

発行:医薬ジャーナル社

この号は「特集:エイズの臨床」、A4版で2500円です。目次を紹介します。

【目次】

○「抗HIV療法」菊池 嘉 (エイズ治療・研究開発センター)

○「エイズの呼吸器病変」後藤 元  (都立駒込病院呼吸器内科)

○「エイズの消化器病変」山本政弘 (九州医療センター感染症対策室)

○「エイズの神経病変」中村哲也  (東大医科研感染免疫内科)

○「エイズの皮膚病変」赤城久美子 (都立駒込病院皮膚科)

○「エイズの眼病変」永田洋一 (東大分院眼科)

○「HIVのコレセプター」塩田達雄 (東大医科研感染症研究部)

○「HIVによる免疫抑制の機序」小柳津直樹 (東京医歯大感染分子制御学)

○「その他のウイルスによる免疫抑制の機序」 岩田 力(東大分院小児科)

○「免疫不全状態におけるウイルス感染症」 土屋 滋(東北大加齢研発達病態)

○「HIVによるCD4のdown reguration」 藤多和信

誌名:臨床と薬物治療

巻号:1999年3月号

発行所:株式会社ミクス

■ 特集「今月の薬剤」はHIV感染症治療薬をとりあげています。本号のもう一つの特集は、在宅ホスピスケアというもので、結構読み応えがあります。ほとんどが開業医の人たちで、頑張っている有様がよくわかります。

■ 目次だけ紹介します。

「治療計画のための薬理学」(河野晴一)

「文献に見る薬剤データ一覧」(徳州会病院薬剤部)

「添付文書による副作用一覧」(編集部)

「私の選んだ常備薬」(西村有史、加藤恭博、高田 昇)

誌名:Mebio

巻号:1998年10月号

発行:メジカルビュー社

■ 「特集:HIV感染症 最新の動向と治療Strategy」というものです。内容は疫学を慶応大の鎌倉先生、感染成立とライフサイクルを熊大の原田先生、免疫不全のメカニズムを東大の北村先生、臨床経過と患者マネージメントを医科研の中村先生、検査を東大の東先生、結核・非定型抗酸菌症を都立府中病院の藤田先生、サイトメガロウイルス網膜炎を東女大の宮永先生、カポジ肉腫と悪性リンパ腫を自治医大の竹田津先生、治療薬を慶応大の谷川原先生、治療ガイドラインをACCの本田先生、治療の実際を国立大阪病院の白阪先生、遺伝子治療を熊大の松下先生、今後の展望を東大の木村先生が執筆されています。

■ メビオは「誰が見たの?」と思うほどわかりやすく美しい絵が特徴です。半年前のものですが一番推薦したい本です。医学専門書店から取り寄せることができます。

誌名:最新医学

巻号:1998年9月号(Vol.53 No.9)

発行:最新医学社

■ 「特集:AIDS研究最前線」です。内容をみますと、より研究的な内容となっており、臨床医にとっては少々辛いところです。HIV感染症の領域は、基礎と臨床の距離が非常に近いのが特徴で、基礎研究の成果は臨床に早く還元されていると思います。

■ 序論を京大の内山先生、ケモカインを京大の堀先生、インテグラーゼを医歯大の増田先生、ウイルス核外輸送機構を関西医大の木村先生、CD8+細胞によるHIV抑制を医科歯科大の大橋先生、サブタイプを感染研の加藤先生、感染病態を医科研の塩田先生、CD4+サブセットを医科歯科大の鈴木先生、SDF1遺伝子多型を京大の田代先生、特異的CTLを熊大の滝口先生、多剤併用療法を医科研の岩本先生、薬剤耐性を熊大の満屋先生、ケモカイン受容体と薬剤を京大の玉村先生、耐性HIV治療薬を熊大の庄司先生、弱毒生ワクチンを京大の速水先生が執筆されています。


新たに140万人エイズに

昨年のアジアと国連発表

共同通信ニュース速報
【ニューヨーク1日共同】世界保健機関(WHO)など六つの国連機関で構成する国連エイズ合同計画(UNAIDS)は一日、経済危機に見舞われたアジアで昨年、新たに約百四十万人がエイズに感染するなど感染者の急増が続いていると発表した。
 UNAIDSは、タイ、インドネシア、マレーシアなどの都市で職を失った若者が出身地に戻り、農村地帯にまで感染が広がる危険性が増大していると警告した。
 アジアの感染者は現在、約七百二十万人と推定され、昨年六月時点より八十万人増えた。特にカンボジア、タイ、ミャンマー、インドで増加が目立った。昨年中の感染者の過半数は二十五歳未満の若者だった。
 UNAIDSは「経済が停滞する中でアジアの若者は大きな障害に直面している」と警鐘を鳴らし、アジアの各国政府に対し感染防止のため保健、教育分野の予算を大幅に削減しないよう呼び掛けた。[1999-04-02-13:14]

COMMENT
■UNAIDSはエイズのことを本気で考えている国際的な組織です。エイズ拡大予防のための社会的資源を持たない国での増加に警鐘を鳴らし続けています。麻薬注射、防護のない性行為、母子感染そして検査されていない輸血などの医療行為によって広がっており、背景に貧困という怪物がいます。[TAKATA]


米シンクタンク

人類の3大脅威防止で報告

【毎日新聞ニュース速報】
 米シンクタンクの「ワールドウオッチ研究所」(レスター・ブラウン所長)は10日、21世紀に向けて世界の人口増加と水や食糧などの資源不足を警告する報告書「マルサスを超えて―人口問題の19の側面」を発表し、人類の3大脅威であるエイズ、淡水不足、穀物栽培面積の減少を回避するには「リプロダクティブヘルス」(性と生殖に関する健康)や家族計画への支援を一層強化する必要があると指摘した。
 国連の最新人口推計(1998年)では2050年の世界人口は2年前の予測を5億人下回る94億人としているが、同報告書は「減少分の3分の2は出生率の低下によるが、3分の1はエイズの流行などによる死亡率の増加」と分析している。
 サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、成人人口の5分の1から4分の1がエイズに感染。その結果、ボツワナの平均寿命は1990年の62歳が98年は49歳に短縮し、ジンバブエでは93年の61歳が2000年に49歳、2010年には40歳まで低下すると同報告書は予測している。
 また、人口増加は淡水使用量を増やし、1人当たりの穀物栽培面積を減少させている。インドでは地下水くみ上げ量が増え、地下水の水位が毎年1メートルから3メートル低下している。
 ナイジェリア、エチオピア、パキスタンなど家族計画が普及していない国では、1人当たりの穀物栽培面積の減少は、将来の食糧供給を困難にするほど深刻だという。日本、韓国、台湾でも、1人当たりの穀物栽培面積が0.03ヘクタールまで縮小し、穀物の70%を輸入に頼っている。
 ブラウン所長は「人口増加に起因する問題について、有効な対策がとられていないことが不思議だ。家族計画の普及や女性への教育支援が必要だが、国際機関や各国は十分に取り組んでいない」と批判している。[1999-04-11-06:29]

COMMENT
■平均寿命が62歳から49歳に短縮するとは、国の活力に重大な影響がありますね。このような国では抗HIV薬による治療が受けられませんから、病気になったら治療すればよいという考えはできません。予防の方が圧倒的に安い。このようにエイズは健康問題にとどまらず、社会・経済・文化に影響を与えてしまうのですね。[TAKATA]


スイスの研究

エイズ治療薬の治療効果確認

出典:Reuters NewMedia - Friday March 12, 1999
http://www.aegis.com/news/re/1999/RE990307.html

[ロンドン発ロイター]
 3剤併用療法はエイズの原因であるHIV感染症の進行を抑え、死亡率を減らすことがスイスの大規模な研究で明らかになった。
■ 医学雑誌ランセント誌に掲載された報告によると、チューリッヒの大学病院では、2,674人のHIV感染者にHAARTを実施したところ、このような大規模な観察では死亡率が最低になったことがわかった。3剤併用療法では少なくとも1種類のプロテアーゼ阻害剤が含まれていて、ウイルスの増殖を止め、免疫能が低下したときに体を攻撃する日和見感染症の発生を停止してしまう。HAART患者の死亡率は1年あたり1.3%にまで激減した。
■ スイスのHIVコホート研究の指導者であるBruno Ledergerber医師は、「私たちの研究の結果、違う薬を次から次へと変えていく治療法よりも、少なくとも3剤を併用して使う治療で開始する方が優れていることを示しています。」と述べている。
■ HAARTはこれまでにHIV治療を受けたことがない患者でことに効果が高かった。他の抗HIV薬を服用したことがある患者よりも、これらの患者では血液中のウイルスの量が検出感度以下に低下している率が高かった。ウイルス量は病気が進行しそうかどうかを示す最も大切な指標だ。
■ 共著者であるRainer Weber医師は、「ここ2〜3年の私たちの経験に限って言えば、ウイルス量が再上昇する患者でも、ウイルス量が検出限界以下にとどまっている患者に比べて、進行しやすいとは言えませんでした。ということは、臨床的にはウイルス量が増えても十分健康状態を保っているということです。」と述べた。
■ CD4細胞はHIVの標的になる細胞であるが、ウイルスが体内で完全には抑制できなかった場合でも、HAARTをしていると高い値を保っていた。CD4細胞数が高いと言うことは、HIV感染者の体をおびやかす可能性がある感染症に対して、患者の体が戦っていけるということだ。
■ 最初の3剤を変更しなければならなかった患者の3分の2は、副作用の場合とウイルス複製を止められなかった場合であった。ウイルスの抑制は一度に全部の薬を変更した例で一番うまくいった。残念なことに抗HIV薬の種類は限られているので、治療後数年たって新しい併用をしようにも限りがある。

COMMENT
◆ 後になって治療を始めた患者の方が、昔から治療を受けていた患者よりも、よい治療成績になることは当然といえば当然です。「エイズの薬が出たと早く飛びつかなくてよかった。今まで治療を受けなくて良かった」という人も出るでしょう。結果はあくまでも結果論としてしか出てこない、冷徹なものです。大勢の患者さんの治療成績が“証拠に基づく医療”として確立されてくるのです。
◆ 副作用を恐れて最初から弱い治療をするより、強力な治療をした方がいい、という結果は不動のものになってきました。問題は、副作用に耐えることが一つ、そして複雑な治療をきちんと続けるということです。HIV感染症治療医の勉強は当然として、患者さんの主体性が大切だと言われます。やっぱり患者さんが主人公です。
◆ 今回の研究結果ではプロテアーゼ阻害剤の地位が固まってきたともみえます。ところが、本当にプロテアーゼ阻害剤か?逆転写酵素阻害剤3剤の併用、例えばコンビビル+アバカビルのようなものの長期間の大規模試験成績はまだ出ていません。これならプロテアーゼ阻害剤の使用を先延ばしにできる可能性があります。成績が出るまで待てるか、待てないか?大いに悩む患者さんもあるでしょう。
◆ “いつ治療を始めるか?”という命題も、証拠があるものについてしか推奨できません。CD4数が500なのか、350なのか、HIV RNA量が5,000なのか20,000なのか、これも厳密な比較試験によります。それで、現在確実に言えることは「患者さんが治療を受ける覚悟を固めたとき」が一番の条件になっていると、多くの医療者が認める時代になりました。[TAKATA]


Training Course

中四国ブロック
■ これから計画される中四国ブロックの研修会です。具体的な日取りは決まっていませんが、決まり次第お知らせします。

★看護者のためのエイズ実地研修(初期過程)★

 各県から拠点病院の看護者が広大病院に派遣されて、実地研修を受ける形式です。

★薬剤師の抗HIV薬服薬指導研修会★

拠点病院の薬剤師を対象とした抗HIV薬とその服薬指導に関する研修会です。

 

★MSWのためのエイズ研修会★

中四国ブロック内のソーシャルワーカーのためのエイズ研修会です。

中国ブロック・四国ブロック

★エイズカウンセリング研修会★

エイズ予防財団の予算です。中国地方四国地方は別個に行われます。


エイズ予防財団
■エイズ予防財団主催のエイズカウンセリング研修会の日程をお知らせします。いずれ も木曜日の午後から土曜日の昼までの2泊3日です。各拠点病院にも通知されています。この研修会は人気が高く、一回目の応募では断られることがあります。ねばり強く応募して下さい。

期間

場所

★第25回

平成11年6月17日〜19日

軽井沢

★第26回

平成11年9月16日〜18日

軽井沢

★第27回

平成11年12月9日〜11日

小田原

★第28回

平成12年2月24日〜26日

未定

問い合わせ先

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-23-11

寺山パシフィックビル4階

財団法人エイズ予防財団

Tel 03-3592-1181, Fax 03-3592-1182


エイズ治療・研究開発センター
■ ACCでは医療従事者向けのエイズ研修プログラムを作り、希望者を対象に実施しています。研修自体の費用は無料ですが、派遣職員の旅費・宿泊費は施設もちとなっています。申し込みの書式や研修日程表はACCのホームページにPDFファイルとして掲載されています。

問い合わせ先

〒162-0052 東京都新宿区戸山1-21-1

国立国際医療センター

エイズ治療・研究開発センター

医療情報室 担当 望月

TEL:03-5273-6829 FAX:03-3208-4244

E-mail:amochizu@imcj.acc.go.jp


〜中四国ブロック版編集後記〜
★エイズは政策医療として展開されており、“需要と供給”の関係で成り立っている多くの一般医療を考えていると、「何なの、これ?」という感じを抱かれるかもしれません。医療施設間の格差を解消することが悲願ですが、達成できるでしょうか? とにもかくにも情報の伝達が大切です。[TAKATA]
☆今回から中四国版と全国版ニュースレターが一つになりました。これまで以上にプレッシャーを感じながら作成しました。皆さまからの様々なご意見、ご感想をお待ちしています。[OE]


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