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よくわかるエイズ関連用語集 Ver.7

広島文化学園大学 看護学部 
高田 昇

  • 平成25年度厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業
  • HIV 感染症の医療体制の整備に関する研究班
  • 主任研究者:伊藤俊広
  • 分担研究者:藤井輝久
    (広島大学病院 エイズ医療対策室)
  • 研究協力者:高田 昇
    (広島文化学園大学 看護学部)

 抗HIV薬の進歩はめざましく、エイズ未発症の新規感染者の治療はほぼ成功し、今後長い間健康状態を保って、その人らしさを発揮できる時代になりました。一方で、病気を長く抱えてきた人では、HIVに多彩な変異が加わって治療が難しい人、治療薬の有害作用やC型肝炎などの合併症で苦労している人がいます。そのC型肝炎の治療も直接作用型の薬剤が導入され、今後劇的な展開をしようとしています。

 HIV感染者に病状が進行する前に治療を開始すると、本人自身の病状進行を抑える他、他の人への新規感染も抑えられるという考え方が、大規模な臨床試験で証明され、「治療は予防」という合い言葉ができました。

 一方でHIV自体が慢性炎症性疾患を作り、動脈硬化症や腎障害あるいは脳神経障害を起こしているという、病態理解が始まり、日和見疾患を起こさないことが治療目標ではなくなりました。加齢や生活習慣病対策も重要になりました。HIVを暴れさせないだけではなく、リザーバーに隠れたHIVまで体から追い出してしまおうという目標が立てられるようになりました。

 このような新規の概念、医薬品、合併症の勉強を用語集に盛り込みましたので、古くから掲載していた用語の見直しが不十分であったと言い訳をしながら、HIV業界に新規参入される人たちに役に立てれば幸いです。

2014年2月 高田 昇

第6版の前書き

 今年はエイズ症例が世界で初めてCDCのMMWRという週報に報告されて30年目にあたります。私は当時、駆け出しの内科医でしたが、血友病を担当していたために輸入血液製剤によるHIV感染からエイズ発病まで、最初から目撃することになってしまいました。習ったことがない、教科書に載っていない事態でした。「目の前で起こっていることは何なのか?」と必要に迫られて勉強をしてきました。その積み重ねがこの用語集に反映しています。

 「これは何か?」と「どうすればよいのか」という間には、かなりの距離があるものです。用語はあくまでも言葉の理解です。用語集はHIV感染者のケアや支援を行う人たち、そして当事者の人たちが言葉を共通に理解するための辞書のような役割だと思います。残念ながら「どうすればよいか」については力 がありません。

 “エイズの業界”は進歩も変化も非常に激しく、用語の追加もあり、削除もあり、また内容も時代と共に変わっています。用語集の改訂はまさにup to dateでなければなりません。今回の改訂版では、みだしの数は1040項目、テキストファイルは552KBになりました。追加する項目に自然とエネルギーが注がれてしまい、元からあった項目の内容の見直しが不完全になったことが気がかりです。

 エイズ関連用語集とタイトルをつけたのは、HIV感染症やAIDSという医学的な面だけでない分野にも触れたいという気持ちがあるのですが、相変わらず医学・医療に偏ってしまいました。何人かの方からは助言を頂きましたが、今後も広くご意見を頂きたく思います。最後に、特にこれから“エイズの業界”に新規参入する人たちに、この用語集が役立つことを願っています。

2011年11月 高田 昇

第5版の前書き

 「よくわかるエイズ関連用語集」が第5版になりました。最初に私的に用語集を作ったときの目的は、ボランティアによるエイズ電話相談員の研修でした。 この頃は、HIV感染の仕組みや検査そして感染予防について理解することのニーズが高い時代でした。高校卒業程度の学力で理解できるようにと努めました。

 その後、新しい治療薬の開発で治療の有効性がはっきりし始めました。用語集の目的は、医療者がHIV感染症・エイズに取り組むという医療者へのエイズ教育に役立てることにシフトしました。ターゲットはエイズを習ってこなかった医療従事者になりました。エイズ拠点病院体制が始まり、厚生労働省の研究班の事業として用語集を作成し、全国の拠点病院、医学図書館、関係団体に配布しました。初版は1998 年で項目数は574 項目でした。

 今回の改訂版ではみだしは996 項目に増え、テキストファイルとして530KBになりました。抗HIV薬も数が増えただけではなく、新しい作用機序のものが出現し、医療関係者が理解しマスターしないといけない知識量も増えてきました。読者のターゲットは、HIV感染症の患者を初めて担当することになった医療者、とりわけ研修医あたりを意識しています。

 毎度のことですが、エイズの領域は進歩と変化が非常に早く、日頃から意識している私たちでさえ、わからない言葉が次々と現れます。参考にしたのは医学書院の医学大辞典、治療薬マニュアルなどのほか、ネットのフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』にもずいぶん助けられました。著者が調べて理解した範囲で記していますので、誤解やポイントがずれた部分もあるかと思います。ご指摘いただけるとありがたいです。

 HIV感染症がコントロールが可能な慢性疾患に変貌しました。この用語集の内容は医学・医療領域に偏っており、HIV感染症の健康と生活と社会を記述する用語としては不足しています。今後はウィキペディアのように、皆さんから記事の提供をして頂き、編集者として修正したり追加できるようになれば良いですね。

2009年2月 高田 昇

第4版の前書き

 この用語集は厚生労働省のエイズの研究班の"研究事業"のひとつとして作成し、関係の皆さまにお配りしています。エイズの領域は進歩と変化が早く、日頃からエイズのことを意識している私たちも迷子になることがあります。前のバージョンから5年も立ってしまい「よくわかるエイズ関連用語集」がすっかり古くなりました。せめて今では使わなくなった治療法を削り、さらに最近の良い治療法を紹介しなければと焦っていました。

 この用語集は色々な方に利用して頂きたいのですが、特に想定している対象読者は若いケア提供者の方たちです。患者さんが急増している日本で、今いちばん望まれるのが、この業界に新規参入をする新しい力です。

 「よくわかる」というタイトルをつけたことを後悔しています。解説を聞いて「よくわかったなぁ」と思うのは、「よくわかった人」が解説してくれたときです。困りました。執筆者の私がわからないことだらけだからです。どこがわからないかが少しわかった、というあたりでご勘弁下さい。

 削除、訂正、追加などでテキストファイルで470KB(Ver.3は365KB)になりました。多くの方からありがたいご意見をいただきました。採用させていただいたものも、叶わなかったものもあります。お礼を申します。

 最後に、用語集を評価して励まして下さった、尊敬する故・山形操六先生と故・山田兼雄先生に、この未完成な「よくわかるエイズ関連用語集」を捧げたいと思います。

2006年2月 高田 昇

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