HIV感染症に対して、1997年からHAART(Highly Active Antiretroviral Therapy:多剤併用療法)という治療ができるようになり、HIV感染者の生命予後は飛躍的に延びました。HAARTは基本的には、核酸系逆転写酵素阻害剤を2剤、それらに加えてプロテアーゼ阻害剤を1剤か2剤、または非核酸系逆転写酵素阻害剤を1剤、もしくはインテグラ−ゼ阻害剤を1剤組み合わせて内服する治療法です。

また、現在では、HAARTが導入された当初よりも新しい薬が増え、1日1回の内服で済むようになったり、1回に飲む錠剤の数が減ったり、副作用が以前よりも軽くなり、患者への負担は軽減してきました。しかしながら、HIVを体内から排除する根治薬はありませんので、一生飲み続けていかなくてはならない薬ではあります。
デンマークで行われた調査※によると、C型肝炎がなく21世紀に治療をうけた25歳のHIV陽性者の場合には、その後35年以上の生活が送れるとしています。
抗HIV薬がなかった時代には、10年くらいしか生きられないと言われていたHIV感染症でしたが、ウィルス発見から約20年が経過し、治療の進歩によりHIV感染患者の生命予後は飛躍的に延びています。
抗HIV薬がなかった時代には、10年くらいしか生きられないと言われていたHIV感染症でしたが、ウィルス発見から約20年が経過し、治療の進歩によりHIV感染患者の生命予後は飛躍的に延びています。
※Nicolai Lohse et al. Survival of Persons with and without HIV Infection in Denmark, 1995-2005. Annals of Internal Medicine. 2007; 146(2):87-95.
CD4陽性リンパ球が350cells/mm3以下、もしくはAIDS発症の場合、妊婦、HBV/HIV重複感染者でHBV感染の治療を必要とする場合には、HAART開始を推奨されています。
CD4が高くても発症する日和見感染症を予防するためや、抗HIV薬が効果的で飲みやすくなったこと等により、CD4が350 ells/mm3以上でもHAARTを開始する方がいいのではないかという意見もありますが、その分長い期間飲み続けることになるので、長期服用による毒性が不明なことや飲み疲れがでることなどへの懸念もあり、患者さんと医療者の十分な話し合いのうえに治療開始を検討することが勧められています。詳細は、抗HIV治療ガイドライン(http://www.haart-support.jp/guideline2011.pdf)、DHHS2009年12月1日改訂版 成人および青少年HIV感染患者における抗レトロウイルス薬の使用に関するガイドライン(http://www.hivjp.org/guidebook/hiv_14.pdf)を参照して下さい。
適切な治療開始時期を逃さないために、早期にHIV感染症を見つけることと、 定期的に受診することが重要となります。


