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はじめに:輸血におけるリスク |
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過去15年以上にわたる血液供給の安全性に関する出来事が、合衆国において政府の血液政策や、血液採取やスクリーニングの方法に重大な変化をもたらした。特に、輸血で感染するヒト免疫不全ウイルス(HIV)の発見は、一般の人の意識や関心を高めた。現在は何重にも及ぶ防御策で、輸血や血液製剤による感染性物質の伝播のリスクは減少している。一つ目は、献血ドナーを完全にボランティアとし、金銭目当ての献血をなくしている。二つ目に、ドナーにさらなる教育と、病歴・生活歴を基礎としたスクリーニング法を行ってきた。三つ目に、1回毎の献血に対して血液検査を行っている。最後に、ピア・プレッシャーによって献血したドナーの血液は輸血には不適格で、その行為は輸血レシピエントにリスクを与えることになる、とドナーに信じてもらうために、コールバックする方法や内密に破棄するシステムを取っている。これら何重にも及ぶスクリーニングや検査により、今までで最も安全な血液供給が可能となった。まだ残っている最大の危惧は、抗体陽性転化前の感染性ウインドウ期の陰性ドナーからの献血と、検査法がなかったり排除できない未知の病原体やウイルスの感染である。 |
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今日、感染性リスクのある疾患に対するスクリーニング検査は9種類ある。現在の合衆国における献血者スクリーニング検査は、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、HIV-1、HIV-2、HTLV-I、HTLV-U、梅毒、オプションとしてサイトメガロウイルス(CMV)がある(表1)。現在輸血で伝播するウイルス感染のリスクは、REDS(Retroviral
EpidemioloGy Donor Study)を通じて試算することができる。これは国立心臓・肺・血液研究所による多施設の研究で、ウインドウ期における感染の危険性の概略が明らかになった。全てのスクリーニング検査に合格した2,300万人の同種血からの検査データによると、合衆国における感染の危険性は以下の通りとなる。 |
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この章では、限られたドナーからレシピエントに暴露する、一般の輸血によって伝播するウイルス性疾患のいくつかをレビューしてみよう。プール血漿からの製剤を使用された人たちは、これらの製造過程のために異常な数のドナーの血液に暴露する不利益を被っている。しかし、これらの製品は、殺菌、加熱、ウイルスの感染性を減らすSD処理など多岐にわたった製造工程を踏んでいる。この話題については、他章で記されるであろう。 |
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感染しているドナーを抗体反応に先立って見つけるために、抗体検査よりもむしろウイルス抗原を測定する新しい方法が広く行われている。例はHIVp24抗原検査で、これはウインドウ期における輸血でHIVに感染するリスクを減らすために1996年より検査に加えられた。HIVp24抗原検査を加えることにより、ウインドウ期は今までの16日から6日に短縮した。またHIV感染のリスクは641,000件に1件と再試算された。将来同様のアッセイが加えられることで、血液供給の際に感染ドナーを含めてしまう危険性をさらに減らすことができるだろう。ウイルス核蛋白に基づいていくつかの病原体をPCR法で検出する方法は、現在ARC
(America Red Cross)における検査や他の血液製剤にも用いられている。ドナーの核酸増幅検査(NAT)は、無症候でHIVやHCV抗体陰性であるが、ウイルス血症のある人を除外するのが目的である。リスクを減少する方法は、検査されるウイルスの特徴によって様々であろう。新たなウイルス検査が、必要に応じてこれからも追加されるであろう。ARCは、NATによりHCVでは年間2万人から100万人に1件、40〜300名、HIVなら0〜5名の免疫反応のない感染ドナーを同定できると試算している。彼らはまた、ウインドウ期をHIVなら12〜16日から9〜13日に、HCVなら70日から30日に短縮すると見込んでいる。ヨーロッパの予備試験では、PCR(NAT)検査は簡便で効果的であるとしている。 |
《表1》現在の献血ドナーのスクリーニング
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・ ドナーの病歴や理学的所見で注意する点: |
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アルコールや静脈内麻薬の常用を伺わせる理学的所見 |
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過去に性行為感染症、輸血や血液(由来)製剤、ヒト組織、硬膜、ヒト成長ホルモンの使用歴 |
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◇ |
クロイツフェルト・ヤコブ病、あるいは関連疾患の既往歴 |
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◇ |
ウイルス性肝炎、マラリア、バベシア病、シャーガス病の既往歴 |
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◇ |
B型肝炎、HIVまたはHIVのリスクのある人物と性的接触や、同じ牢屋であったり、生活を共にしている |
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◇ |
特殊な質問として、アフリカで生まれたり、HIV-O型のリスクのある8つの地域に旅行したり住んだりしたことがある |
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・ ドナーの教育と“注意を喚起する印刷物” |
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・ 説明と同意 |
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・ 輸血に使用しない血液のドナーには、今後ドナーの機会を与えない |
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・ 疾病の伝播を防ぐ目的の検査 |
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HBs抗原 |
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抗HBc抗体 |
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抗HTLV-I/II抗体 |
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◇ |
抗HCV抗体 |
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◇ |
抗HIV-1/2抗体 |
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HIV-1抗原(p24) |
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梅毒血清反応 |
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オプションとして、ALTとCMV |
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ヒト免疫不全ウイルス |
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1982年後半HIVが血液や血液製剤で伝播することが明らかとなった時、公共の保健センターでは、HIV感染のリスクが高い人たちは献血すべきでないとする声明を出した。さらに血液センターでは、高リスクの行動に関する問診を強化したり、献血後に彼らの血液を廃棄するといった安全策が取り入れられた。1985年にHIV抗体検査が始まり、結果として輸血関連のHIV感染はさらに減少した。1984年CDCに714件報告された感染は、その後5年間は年わずか5件となった。HIV-2に対する抗体検査も追加されたが、7400万人のドナーのうち陽性3名と、合衆国ではわずかな効果に留まった。1995年後半ウインドウ期を短縮して、HIV伝播のリスクをさらに減らすことを目的としたHIVp24抗原検査が追加された。この検査の効果も限られたものであった。なぜならHIV感染リスクは既にかなり少ないものになっていたからである。600万人のドナースクリーニングで、HIV抗体陰性ドナーでp24抗原陽性はわずか2件であった。 |
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いくつかのスタディで、輸血レシピエントはその生涯において、輸血で伝播した疾患を発症するようになり死亡率も分かるようになった。小児の患者は除外された。成人では10年死亡率は52%とする報告があるが、我々のグループの研究では、輸血レシピエントの長期生存率は83%であった。彼らは、長期間で発生する有害事象についてより適格に調べられた。 |
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頻回輸血による小児へのHIV感染について報告している研究は二つある。Jone
らは、1981年から87年にかけてCDCに212例の症例報告を行った。HIV感染を診断した年齢は0.3才から12.8才で平均4才であった。生存期間の中央値は成人の5.6ヶ月に対し長く、13.7ヶ月であった。 |
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高リスク群のドナーが存在する都心の地域において、新生児期に輸血を受けた小児に対する後ろ向きのルックバック調査が行われた。33例のHIV抗体陽性小児が新たに見つかり、そのうち13例は輸血から平均63ヶ月間無症候であった。我々の研究でも輸血後最長9.5年無症状の小児を報告している。HIV抗体検査陽性の青年期や少年期の人たちの親は、彼らのHIVリスクアセスメントの一環として、新生児期の輸血について質問を受けるべきであろう。 |
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B型肝炎ウイルス |
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HBVは細胞性または非細胞性の血液や血液製剤を介して伝播する。1975年からB型肝炎ウイルスの表面抗原に対する第3世代のスクリーニング検査が施行され、輸血で伝播するHBV感染症を有意に減らすことができた。HBVは輸血後肝炎の10%未満となっている。肝炎の代用マーカーが導入されると、B型肝炎と非A非B肝炎の率をさらに減らすことができた。急性期の肝臓の炎症を反映するALTとB型肝炎ウイルスの既感染を示すB型肝炎抗体検査は、1986年に導入された。 |
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これら特異的な代用マーカーにもかかわらず、B型肝炎は未だに輸血で伝播するウイルスとして一般的である。ウイルスに感染した35%に急性症状が出現し、患者の1〜10%で慢性感染となる。慢性感染の患者は将来、慢性肝疾患、肝硬変、肝細胞癌などが起こるリスクが増加する。発症メカニズムは分かっていないが、宿主細胞の遺伝子を活発化したり、抑制したりしながら、ウイルスDNAの必要な部分を宿主細胞の染色体に統合させるのかもしれない。 |
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HBV感染症の治療は、当初は姑息的で症状押さえを目的とした。1992年FDAがHBVの治療薬としてインターフェロンα2bの使用を承認し、最近の成人における研究でもその効果が認められた。患者の40〜50%は治療に反応する。しかし彼らの約半数は治療を止めると再燃する。小児のインターフェロンα2bの使用経験はほとんどないが、その結果は成人と比較できるものである。 |
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獲得性HBVの治療法の研究が進められる一方、予防が最も重要な治療であろう。リコンビナントHBVワクチンによる免疫で、急性HBV感染症や肝細胞癌の発症が減少した。ワクチンは、血液や血液製剤に暴露する可能性のある人全てに推奨される。そして、これらの製剤の輸注を既に受けた患者には、ワクチン前検査が推奨される。 |
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A型肝炎ウイルス |
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A型肝炎ウイルスは主に、混入している食品や水などを介して糞便-経口感染で拡がる。黄疸や発熱、食欲不振、不定愁訴を伴った急性症状が典型的である。血液や血液製剤の輸血による伝播は稀であるが、ヨーロッパや合衆国では、SD処理した第VIII因子製剤や第\因子製剤に混入してHAVが感染したとする症例報告があった。輸血によるHAVの伝播は、100万単位に1回の率で起こると試算されている。合衆国免疫療法委員会は、血漿由来の凝固因子製剤の治療を受けている患者全てにA型肝炎のワクチンを行うよう勧めている。現在HAV感染症に対する治療法はないが、曝露後の免疫グロブリンによる予防は現在も推奨されている。 |
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Transfusion-transmitted
virus |
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Transfusion-Transmitted Virus(TTV)は最近日本の研究者らによって、輸血後肝炎の患者から同定された。ウイルスゲノムは単鎖でDNAの全長は4キロベースであり、他の既知のウイルス属と遺伝子的にもアミノ酸的にも似通っていない。もともと輸血後肝炎の患者から分離されたにもかかわらず、感染経路や疾患との関連など病理学的にはほとんど分かっていない。日本や合衆国、イギリス、ベトナムなどで、献血ドナーの8〜12%でウイルス血症が存在することが報告されている。しかし、現在のPCRによる増幅法は、全てのTTV変異株を検出するに適切なものではなく、もっと感度の高いプライマーを使用すれば、さらに高い頻度で検出できるようになるであろう。Simmondsらはイギリスにおいて、血液製剤やそのレシピエントにおけるTTVの頻度を調べた。それによると、献血ドナーとして適格とされた者のうち1.9%にTTVの感染が認められた。さらに、1986年以前に製造されたウイルス不活化処理をしていない第VIII因子製剤や第\因子製剤のレシピエントで、高頻度でTTVが検出された。しかし、ウイルス不活化処理によりその頻度は、12例中9例から22例中8例にまで減少した。彼らのデータから、60℃、10時間のプール血漿のTTV不活化処理は、SD処理よりも効果的であることが予想された。しかしながら、これを確かめるにはさらに大規模の研究が必要である。予備研究であるが、我々はワシントンDCのメトロポリス地域において、輸血歴のない小児で55例中36例の陽性率であったことを明らかにした。患者の中の糞便よりTTVが存在することもあることから、この高い頻度は、曝露ルートが1つだけでないことを示している。 |
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Nishizawaらのオリジナル研究では、TTVは輸血後肝炎に関係している。しかしTTVは輸血で伝播する一方、無症候性感染者の多くが肝機能正常であり、かつ肝生検において変化がほとんどないこともそれからの研究で明らかとなった。それで、TTVは一般にはG型肝炎ウイルスと同じように高頻度に存在しているようだが、現時点では疾病との関連性は明らかでない。 |
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C型肝炎ウイルス |
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C型肝炎ウイルスは、単鎖のRNAウイルスでフラビウイルス属に属する。合衆国におけるHCV伝播の最も一般的なリスク因子は、輸血や静注麻薬使用、多数のセックスパートナーとの曝露などである。HCVのスクリーニング検査による研究で、輸血後の非A非B肝炎の90%はHCVが原因であることが分かった。しかし現在、輸血でHCVが伝播することは稀となった。HCVのC-100抗原をターゲットにした第1世代のスクリーニング検査が開発され、1990年の春に使用されるようになった。1992年に第2世代のスクリーニング法が始まり、これはC-100抗原やコア蛋白C22-3、NS3蛋白c33cなど多種のエピトープに対応している。後者の二つのエピトープに対する抗体は、C-100に対する抗体よりも早期に出現する。HCV感染者は、感染から15週以内に80%が抗体陽性となり、6ヶ月で100%陽性となる。また大多数で長期間抗体陽性が続く。第2世代の検査法が用いられるようになってから、輸血後C型肝炎の発生は1989年の5%から1%未満となり、現在ではHCV感染のリスクは輸血103,000件に1件まで減少した。 |
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第[因子製剤では1985年、第\因子製剤では1987年に導入されたウイルス不活化処理が行われてない、プール血漿を原料とした濃縮凝固因子製剤を使用された人は、HCV感染のリスクが非常に高かった。その時点以前の製剤で治療された血友病患者のHCV感染頻度は90%に及ぶ。さらに1994年以降、全ての免疫グロブリン製剤にも不活化処理がされるようになり、さらにHCV-RNA陰性であることを確認して出庫するようになった。 |
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輸血後C型肝炎の感染初期は、多くの場合無症候性で黄疸も生じない。HCV感染症の重要な点は、苦痛を伴わずに持続感染するウイルスの特徴である。持続感染のメカニズムは、ウイルスが免疫のプレッシャーに対し速やかに変異して多数の変異株となり共存する能力に依る。これら変異株は“quasi-species”と呼ばれ、ウイルスが免疫反応から逃れるメカニズムの根本である。さらにHCVは肝臓において、免疫のクリアランスから自己を守るために、その自己複製を減らす休止期となって持続感染している。HCVに対し正常な液性免疫が作用するにもかかわらず、慢性肝炎となるのが60%以上、持続感染が90%以上となる。慢性肝炎の3分の2で慢性活動性肝炎や肝硬変、肝細胞癌を発症する。HCV感染症患者の少なくとも20%が20年以内に肝硬変を発症し、20年間の肝細胞癌発生のリスクは1〜5%である。肝硬変と肝細胞癌を併せた死亡率は、21〜28年で14.5%である。慢性C型肝炎患者は、関節炎や扁平苔癬、糸球体性腎炎、強膜乾皮症、クリオグロブリン血症など免疫に関係すると思われる様々な肝以外の所見を合併することもある。 |
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小児のHCV感染症に関するデータの大部分は、HCVスクリーニング検査導入以前に診断された輸血歴のある血液疾患や癌の患者に関する研究からのものである。悪性腫瘍の治療を受けている小児におけるHCVの頻度は17〜40%であり、地域差がある。Cesaroらは、小児悪性腫瘍の治療を受けた658名の小児のうち、117名がHCV陽性であるとした。117名中91名、77.8%で少なくとも1回以上の輸血歴があり、また92名で慢性肝疾患を認めた。51名が肝生検を受け肝硬変の発症は、HBVとの重複感染14名中3名であったのに比べ、HCV単独感染の37名ではたった1名であった。これらの患者を14年間フォローしたが、肝不全や肝細胞癌を発症した者はいなかった。 |
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HCVが慢性感染を起こすことや、HCV抗体陽性ドナーからの輸血レシピエントのほとんどが感染していることから、世界的視野のルックバック・プログラムが用いられてきた。このプログラムの目的は、後にHCV陽性が判明したドナーからの輸血レシピエントを確認するものである。カナダやデンマークのデータは、我々が合衆国でもそのプログラムに参加できることを示唆している。 |
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・ 輸血歴のある患者の43%は、先天性の凝固異常症や慢性貧血、悪性腫瘍である。 |
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・ 26%は心血管系の手術における輸血歴があった。 |
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・ ほとんどが、1986年から1991年の間に輸血歴があった。 |
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・ 肝生検を受けた者の11%は、組織学的に肝硬変であった。 |
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・ 40歳以降に感染したレシピエントでは、肝硬変の頻度がさらに高かった。 |
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現在の成人HCV感染症の治療は、インターフェロンα2bを1回200万単位、週3回を6〜12ヶ月受けることである。生化学的に寛解状態が続くのが約20%で、初期に反応したもののうち50%で治療中断と共に再燃している。急性感染期の治療として、リバビリンとインターフェロンの併用や多種のインターフェロンまたはその併用など、単剤あるいは併用療法などの効果をみる試験が進行中である。小児のインターフェロン使用経験の報告は限られている。HCVは慢性疾患として重大な罹患率、死亡率を有しているので、早期の介入が特に小児では大切である。よってルックバック研究は、小児期の臨床経過次第では早期に治療に踏み切ることも考慮しながら、新生児や小児の輸血レシピエントに焦点を置くべきである。 |
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HTLV-I、U |
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HTLV-Iは日本やアフリカの南サハラ地方、カリビア海周辺、ブラジル、メラネシア、イランなどの地域固有のヒトレトロウイルスである。HTLV-Uは、パナマやブラジル、中央アフリカ、合衆国の先住民などに限られた地域にみられる。HTLVは、T細胞性白血病やミエロパチー、関節炎、多発性筋炎を引き起こす。この最初のヒトレトロウイルスは、1978年に急性T細胞性白血病の患者より分離された。HTLV-I、U共に宿主のDNAに組み込まれ、長期間のキャリア状態となる腫瘍ウイルスといった特徴を持っている。伝播は輸血や性的接触、静注麻薬の使用、周産期の母子間などで起こる。伝播はリンパ球を介して起こる。 |
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頻度は少ないが、HTLV-I、Uに感染した細胞成分の輸血が起こっていた。採血後14日間以上保存した血液や細胞成分のない血液製剤では、感染性が明らかになっていない。HTLV-I、Uの感染血液のレシピエントの20〜60%で、感染が成立すると思われる。輸血で伝播したHTLV-Iが、輸血後1ヶ月から4年以内に発症する進行性の神経疾患であるHTLV-I関連ミエロパシー/TSPを起こす確率は1〜4%である。現在までに、感染血液の輸血後にT細胞性白血病を発症した例が1例報告されている。 |
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HTLV-Iのドナースクリーニング検査は、1988年に第1世代のELISA法が導入された。現在合衆国では、HTLV-I、U抗体検査が行われている。第1世代のスクリーニング検査では、ウインドウ期での感染が50,000単位に1件と試算された。一方第2世代の検査法を用いたREDS研究では、その確率は641,000単位に1件であり、輸血で伝播するウイルスとしては最も低い確率となった。 |
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G型肝炎ウイルス/GBV-Cウイルス |
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二つの研究グループが、G型肝炎のRNAウイルス、HGVとその変異株であるGBV-Cを発見した。HGVはフラビウイルス属に属し、そのアミノ酸配列はHCVと29%の相同性を持つ。HGVは、輸血や血液製剤の使用など非経口的に伝播し、合衆国では献血ドナー適格者のうち1〜2%に認められる。他の国のデータでも、健常者の5.7%にHGVが検出されているベトナムを除きほぼ同様の頻度である。 |
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現在、HGVはRNAポリメラーゼ法やウイルスの膜蛋白E2に対する抗体を検出する方法で検出できる。抗E2は通常、HGV-RNAが排除された後の回復期に検出される。献血ドナーでの曝露率は、ウイルスRNAが同定できるウイルス血症の率の3〜6倍である。血友病患者や静注麻薬常用者のような高リスク群では、曝露率は80〜90%であるがウイルス血症は15〜20%である。曝露率と活動性感染率との大きな隔たりは、HGVキャリアのほとんどが、結局はウイルスを排除していることを示している。ドイツでの静注麻薬常用者における研究では、HCV-RNA陽性率は最初の注射から時間の経過と共に増加したのとは反対に、HGV-RNA陽性率は逆に減少した。HCVとHGVの違いは、HGVに対する中和抗体の出現や免疫が関連したウイルスクリアランスのメカニズムによると思われる。HCV感染者の10〜20%でHGV重複感染がみられたとする報告もあるが、HGVはHCV感染症の臨床経過やインターフェロン治療の反応性に対し、何ら影響を与えなかった。 |
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このウイルスは血液や血液製剤で伝播する可能性があるが、肝指向性であるとか疾患に関連があるとする証拠はない。現在HGVに対するスクリーニング検査は承認されていないし、検査するメリットがないとされている。 |
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細菌の混入 |
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輸血は今までになく安全なものになった一方、問題も残されている。赤血球や血小板への細菌の混入は、ウイルス性疾患の伝播よりもはるかに一般的なものである。特に血小板製剤中の細菌は、室温保存により時間と共に菌量が増加する。徴候性の合併症や敗血症のリスクは、輸血2,000件〜12,000件に1件の割合である。これは、TTVのリスクに比べ50〜250倍の高さである。 |
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レシピエントの臨床症状は、しばしば患者の状態によりマスクされる。合衆国では、血小板製剤にグラム陰性菌の混入により年間150名が死亡しているという試算がある。迅速に混入細菌を検出、除去する方法が検討されてきたが、多くのアッセイ系の特異性や感度の問題より、画一的には受け入れられていない。ソラレンと紫外線を用いた輸血製剤の殺菌法で、大腸菌やいくつかの細菌、動物指向性ウイルスの増殖を減らすことが分かった。最近、7500cGy程度のガンマ線照射は、血小板製剤の殺菌に効果がないことが分かった。 |
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図1 合衆国における輸血によるHIV、HCV、HBVの伝播のリスク |
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結論 |
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将来、輸血をウイルス学的・細菌学的にも安全なものにするために、血液採取後の過程で何らかの方法がとられることが期待できる。しかしこれら血液採取後の加工が我々の現在の方法より効果が高いことが証明されるまでは、採取前スクリーニングや検査が劇的に改良されることはないだろう。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病や輸血で伝播する他の病原体などのような新たな輸血感染症に対して、懸命な取り組みを続けていくことが必要となるであろう。 |
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