3-1.血友病診療のポイント
3-1-1.出血にはすぐに対処
● 出血は、昼夜関係なくいつでも起こります。
● 出血時にできるだけ早く凝固因子の補充を含めた適切な処置をすることが大切です。
● 早く治療を行うことは、苦痛を軽く短くさせるばかりでなく、後遺症を防ぐ意味でも非常に大切です。
● 夜間に出血を起こした場合、患者が主治医または当直医に遠慮して、翌日まで病院へ行かず我慢することは避けなければいけません。
● 主治医、当直医は何時でも対応できるようにしなければなりません。患者に緊急時の連絡先や対応について十分伝えておく必要があります。
3-1-2.臨床上重篤な出血及び合併症
● 次の出血及び合併症は生命を脅かすか、重大な後遺症を残す恐れがあります《表1》。 継続的な観察と処置、時に外科的な処置が必要になる場合がありますので、緊急入院の適応になります。

《表1:血友病における重篤な出血及び合併症》

1) 中枢神経への出血 →死亡や重篤な後遺症につながる
2) 咽頭、気管周囲への出血 →窒息の恐れ
3) 開放性骨折 →局所の固定・安静が必要
4) 重症の急性関節内出血  →痛みの管理、穿刺・洗浄の判断
5) 腸腰筋・後腹膜への出血 →ベッド上安静が必要、治療期間が長い、
  後遺症予防
6) 腹腔・胸腔・気道・消化管出血 →短期に大量出血の恐れ
7) 同時に二肢以上の出血 →単身者では身のまわりの世話ができない
8) 化膿性関節炎 →関節洗浄と長期抗生剤の大量使用が必要

3-2.血友病医療の概要
3-2-1.血友病専門外来
● 通常、血友病専門外来は血液内科、小児科の医師が担当します。
● 診療の内容は、次のようなことです。
1) 出血エピソードとその治療のチェック
2) 合併症に応じた定期診察、検査
3) 内服薬や血液製剤の処方と在庫の確認
4) 血友病教育やその他の医療相談
● 合併症によっては、他科の医師も血友病診療を担当することになります。例えば血友病性関節症→整形外科医、慢性肝炎→肝臓専門医など。
● 看護師や薬剤師、カウンセラー、医療ソーシャルワーカーなども血友病医療に積極的に参加し、患者を包括的にケアする(包括的医療)が大切です。
● 血友病の包括的医療の中心となるのが血友病専門コーディネーターナースですが、日本で血友病専門コーディネーターナースがいる病院は非常に少ないのが現状です。
3-2-2.患者手帳
● 自己注射・家庭療法実施にかかわらす、凝固因子製剤の輸注を行う全ての患者に『患者手帳』【図3-1】を手渡します。
● 患者または保護者に出血エピソードと輸注、製剤のロット番号の記録を行ってもらいます。
● 外来受診時に持参してもらい、必要事項をカルテに転記します。また各出血エピソードとその輸注について、患者と話し合います。
● 年末には手帳を回収またはコピーして、新しい『患者手帳』を手渡します。
● 『患者手帳』は、凝固因子製剤を供給している製薬会社(日本赤十字社、バイエル社、バクスター社など)が、作成しています。担当者に連絡をとってみてください。

【図3-1:患者手帳と出血の記録用紙】

【患者手帳】

【記録用紙】